当ブログは、ユーザー主導でエアソフトガン業界を発展させることを最終目標に掲げるウェブサイトです。
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可能な限りオープンソース、コピーレフトで公開いたします。積極的にご活用ください。
また、本ブログは色覚に制限がある読者様のために、
赤色と緑色の文字を意図的に避けて記述しています。読みづらいとは存じますが、どうかご理解ください。
Bushnell AR Optics 1-4x24mm Throw Down PCL - 2014年08月06日
みなさんこんにちは。ネヴリンです。
今回は
Bushnell AR Optics 1-4x24mm Throw Down PCL
のインプレです。
ハンティングアイテムを主力商品とするブッシュネル社ですが、
近年のタクティカルブームに合わせて「AR Optics」シリーズをライナップしています。
このモデルは、去年(2013年)の春ごろに発表されたモデルで、
3GUMマッチ向けのスピードズームレバーと、.223弾専用のレティクル採用が最大の特徴です。
従来から販売されていたAR Optics 1-4x24mmをアップグレードしたモデルです。
AR Opticsシリーズは、性能が良好で値段がかなり手頃ということで現地でも人気があり、
300ドル以下の普及価格帯スコープでは定番アイテムのようです。
ただコスト的に手抜きな部分は結構あるので、そのあたりは要考慮事項になるでしょう。
まずはパッケージから。このあたりはさらっと読み流してください。
パッケージデザインはそこそこ派手で、一見してライフルスコープであることが分かります。
高級感よりも主張の明確性を強調するデザインです。
付属品もシンプル。説明書、登録してねシート、保護キャップ。
多くの人は保護キャップをバトラークリーク製などに交換するので、輸送時や保管時に最低限の保護をする程度の安物です。
私も対物をバトラー02A(30mm)にしたので付属品は使いません。接眼はハダカのままでおk
説明書もAR Opticsシリーズ共通のようです。レティクルの説明だけ個別のようです。
入門者には不親切ですが、タクティカルラインの商品を買う人って大体ガンヲタなので問題ないんでしょう(笑)
それでは、本体を見ていきましょう。
本体はこういう感じ。
仕上はしっかりとしたマット調で、エッジもしっかりと立っています。
本製品の最大の特徴である、パワーダイアル部分のビルトインスルーレバーが印象的です。
スルーレバーは折り畳みが可能です。スチール製で剛性もあります。
パワーダイアルには適度なトルクがあり、スルーレバーで動かすときにはスルッっと動いてくれます。
エアソフト向けスコープのねっとりした動きが気に入らない私には好印象でした。
レティクルは「BTR」(ブシュネル・タクティカル・レティクル)というレティクルだそうです。
いわゆるホースシュー(馬のひづめ)型で、素早いサイティングができるようになっています。
また、FFP(ファースト・フォーカル・プレーン)式で倍率に応じてレティクルサイズが変わるため弾道の落下量を把握しやすいです。
パワーダイアルは、低倍率域が広く高倍率域が狭くなる方式。いわゆるAカーブです。
倍率変化が人間の知覚にとって自然になる方式ですね。一眼レフのレンズなどではおなじみです。
多くのライフルスコープは倍率間の回転角度が等しく、
低倍率は目盛ひとつで大きく変化するのに高倍率ではなかなか変化しないという違和感がありますが、
このスコープでは自然な変化でとても見やすいです。
視度調整も備わっています。1.25周の回転で上の画像程度の調整幅があります。このダイアルもスムーズに回せます。
ただ、遊びが大きいため、視度調節ダイアルを緩めると結構ぐらつきます。
このあたりは値段や移動量との兼ね合いがあるので仕方ないかもしれません。
ダイアル部下面。
製造国は韓国です。その下の文字はモデル名で、シリアルナンバーの表記はありません。
エレクターチューブ保持はコイルスプリング方式です。
ダイアル部分です。
エレベーション、ウェインデージ、イルミネーションの各ダイアルが集約されています。
ダイアルのエッジはしっかりしていて滑りにくいです。
エレベーション、ウィンデージともに0.1MIL/クリックです。
どちらも実際には10周ほど回りますが、公式には60MIL※とされています。
どちらにせよ相当広い調整幅があります。
クリック感はかなりはっきりとしており、安物スコープにありがちなネットリ感はありません。
また、バーニアスケールも入っており、今何周目かが分かりやすいです。
なお、バーニアスケールはメーカー発表の調整域に対応した60MIL分(6周)がカウント対象のようです。
イルミネーションはレッドのみで11段階です。
スコープのイルミは薄暗がり~真っ暗闇で使ってナンボですので、このように細かい調整が効く方が有利です。
ただ、残念なのが輝度調整ダイアルで、クリック感がいまいちです。ほかの出来がいいだけに・・・惜しいね。
ウィンデージ・エレベーションダイアルは、イモネジを緩めることで向きを変えることが可能です。
このスコープにはゼロストップ機能はついていないので回転域制限はできませんので、ダイアルを外す場面はないでしょう。
ダイアルのタワー部分は安価なスコープと同じ真鍮製となっています。コストダウンの影響ですね。
イルミネーション用のバッテリーは、入手が容易なCR2032を使用します。
接点構造やコーティングもそれなりにしっかりしています。
バーニアスケールは15目盛分振ってあります。
このスコープはMIL系なので6目盛しか使いませんので残りは無駄ですね。
MOAモデルに流用することでも目論んでいるんでしょうか・・・?
接眼側のレンズコーティングです。
緑系+青紫系のコーティングがされているように見えます。
この価格帯になってくると全レンズに多層コートを施せるので、見え味はかなりクリアです。
(後掲の屋外写真を参照してください)
対物側のコーティングは緑系です。
単に緑といっても透明感のある緑なので、光の透過率が高いのだと思います。
なお、射出瞳径は1倍時13mm、4倍時6mmで十分な明るさを誇ります。
コーティングと合わせると優秀な光学系を有すると考えられます。
それでは、屋外での見え方を検証してみましょう。
(あとから気づいたんですが、カメラのレンズにゴミが・・・。スコープとは無関係なので無視してください。)
検証場所は近所の公園です。
視点位置から写真中央の物置まで約55mです。
撮影は8月5日14時〜15時、天気は晴れまたは曇り、f42mm/ISO800/F22絞り優先オート/露出±0です。
まずは1倍時の見え方です。
レンズ端部も含めて全域でシャープな像です。
また、明るさも十分で、色味もバランス感のある原色再現系です。
倍率も「ちゃんと」1倍で、裸眼時との差がなく使いやすいですね。
アイリリーフは実測約80mm~100mmで、最近流行のロングアイリリーフ機種に比べると覗ける範囲はシビアです。
1倍時、イルミネーションを最大輝度で点灯させました。
日中はうっすら赤みがかかる程度で、イルミネーションの恩恵は感じられません。
ですのでダットサイト的な使い方は不得意だと思われます。
もっとも、日中はレティクルが視認しやすいので問題は少ないのではないでしょうか。
むしろこのスコープのイルミは夜間にこそ本領を発揮するので参考までとしてください。
2倍時の見え方です。
これも1倍時と同じく全域でクリアです。
3倍時の見え方です。
気持ち程度1倍時に比べてシャープさが減った気もしますが、それでも十分シャープです。
4倍時の見え方です。
これも気持ち程度解像感が減った気がしますが実用範囲だと思います。
帰宅後、写真をガッツリ拡大してみると、赤色の色収差が発生していることが判明しましたが、
機械を通して拡大しなければわからない収差です。
ズームするごとに解像感が若干失われるのは残念ですが、
エアソフト向けスコープのようなぼんやりとした解像度低下ではないので、
致命的な欠点かといわれると個人的には否定票を投じておくことにします。
むしろ、この赤色収差を差し引いても、十分な解像感と明るさを有していることのほうが評価に値すると思います。
続いて、3m先の近距離の物体を覗いてみました。
驚くことにこの距離でもしっかりピントが合っています。
さすがにこの距離だと物体に対する歪みとパララックスも顕著になり実用外ではありますが、
優秀な光学設計であることが推認できます。
今度は歪みをみてみましょう。
画像では像がケラれるほど極端に光軸をずらしています。
このとき、奥(約10m先)の柵がゆがんでいることが視認できます。
実際には目と接眼レンズ位置も関係するのでこの画像以上にゆがんで見えることもありますが、
ちゃんと銃にマウントし、ちゃんとストックに頬付してアイリリーフ範囲内で覗くという「普通の使い方」をすれば問題ないはずです。
3m先@4倍。
4倍でも完璧にピントが合っています。
このときパララックスは赤いポール幅程度は発生しますが、エアガンであれば実際上問題にならないでしょう。
むしろ、エアソフトの実用距離である10m程度も離れれば十分にパララックスが取れるうえ、
おそらくこのスコープでそんな精密射撃はしない(笑)ので問題ないです。
このあたりまで克服しようと思ったら、①レンズやチューブ径を大きくするか、
②加工コストの高い「非球面レンズ」や「低分散(ED)レンズ」の採用を余儀なくされます。
ショートスコープの場合①は採りえない選択肢なので②が選択されますが、
結果的にそれが価格面に大きく反映されてしまいます。
高価なモデルの低歪/高解像感はこれに由来していて、およそ越えられない壁になっています。
しかし、こんな普及価格でこれだけの性能を発揮できるのだから、そこに不満をぶつけるのは筋違いですね。
こんどは、夜間のイルミネーションを見てみます。背景は病院の検査棟です。
撮影は8月5日19時~20時頃、天気は曇り、f42mm/ISO800/ss5"/F22/露出+1.0です。
輝度1@1x
輝度1@2x
輝度1@3x
輝度1@4x
先に述べたとおり、このスコープのイルミネーションは夜間にこそ本領を発揮します。
夜間は時間帯によって必要とされるレティクル輝度が異なりますので、
色の数よりも輝度の段階数のほうが重要です。
輝度が低いと当然レティクルが見えませんし、輝度が高いと鏡筒内やレンズの反射で対象物が見えなくなります。
このスコープは輝度調整が十分に細かいので、目的物を邪魔することはありません。
また画像からも分かるように、像は十分に明るいです。
多少でも光源があれば、レンズの集光効果や視度補正効果も相俟《あいま》って対象を捕捉しやすいです。
夜戦にこのスコープを投入してみたところ、物陰に隠れる敵影をしっかり明確に視認することができました。
リーパーズのアキュショットと比較しても物陰の敵影の視認性は高いように感じました。
輝度2~11@4x
しかし、このスコープにも欠点が。
個体差かもしれないので一概には言えませんが、私のものは「エッチングレティクル面が汚い」です。
輝度を最大、倍率を1倍にして暗いところを覗くと、レティクル面に無数のゴミが付着しているのが見えます。
このあたりはコストとの兼ね合いなのか、私の買った商品がたまたまハズレだったのか定かではありませんが、
どちらにせよ、販売価格的にはこの程度の検品体制が限界なのかもしれません。
もっとも、現実には輝度11の等倍で暗闇を覗く場面はないでしょうし、
仮にこのセッティングで使うとすれば明るめの夕方や日の出前でしょうから、
ゴミは事実上視認できないことになりそうです。
個人的には、実用上支障がなければそれでいいですからね。
ちなみに、私が夜戦で好んで使うのは輝度2です。
等倍ではダットサイト、ズーム域で狙撃をするのにちょうどいい明るさです。
それと、輝度4あたりから対物側のレティクルの反射が視認されやすくなります。
写真は輝度11で鏡筒反射をとらえた画像になります。
夜戦ではこのような光源が居場所を察知される原因になりますので、
自分の夜間視力との兼ね合いで許容できるぎりぎりの明るさを選ぶことになるでしょう。
総評。
低価格かつハイパフォーマンスなスコープを求めるのであれば、おすすめできる一本です。
北米での実売価格は〜230ドルで、送料50ドルとしても3万円以下で購入できます。 ※もちろん個人輸入ですよ!
レンズコーティングや光透過率をかんがみれば優秀な光学系を備えているといえますし、
スルーレバー標準装備、FFPであること、E/Wの調整量やイルミネーションの段階の多さをこの価格で実現できている機種はそう多くありません。
もちろん、色収差やレティクルガラスなどでツメが甘い部分も見られますが、それ以外の長所を台無しにするほどのものとは言えません。
絶対的な性能や満足度でいうと上級価格帯の製品には敵いませんが、
この価格帯の中、あるいは普及価格帯の中という括りで「より良い」性能と満足度を得たいならこの機種を選んで損はないのではないかと考えられます。
エアソフト用スコープからのアップグレードを考えている人、ショートスコープで最低限まともな性能を求める人に対しては強くお勧めできる商品といえます。
付録
※ノーベルTAC ONEのデータは、ハンクさんの記事(http://slaughter.militaryblog.jp/e332226.html)から頂きました。
ハンクさんありがとうございます。
撮影環境
ハード:Nikon D90 + AS-F NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6G
画質:RAW (Adobe RGB 12bit) → JPG (sRGB 8bit)
設定:色温度3700K(夜)5000K(残り)、F22(レンズ覗時)、ss5秒(夜)、色相±0、ビビッド、アクティブDライティング弱、フラッシュなし
現像ソフト:Photoshop Lightroom 5.5
※上記記載のないF値やシャッタースピードその他詳細は、画像のEXIFデータを参照してください。
※私の感じた色調に近づけるように明るさ等の補正をしています。絶対的な色調を保障するものではありません。
※表示ディスプレイによっては、当方の想定する色調と異なる場合があります。
今回は
Bushnell AR Optics 1-4x24mm Throw Down PCL
のインプレです。
ハンティングアイテムを主力商品とするブッシュネル社ですが、
近年のタクティカルブームに合わせて「AR Optics」シリーズをライナップしています。
このモデルは、去年(2013年)の春ごろに発表されたモデルで、
3GUMマッチ向けのスピードズームレバーと、.223弾専用のレティクル採用が最大の特徴です。
従来から販売されていたAR Optics 1-4x24mmをアップグレードしたモデルです。
AR Opticsシリーズは、性能が良好で値段がかなり手頃ということで現地でも人気があり、
300ドル以下の普及価格帯スコープでは定番アイテムのようです。
ただコスト的に手抜きな部分は結構あるので、そのあたりは要考慮事項になるでしょう。
まずはパッケージから。このあたりはさらっと読み流してください。
パッケージデザインはそこそこ派手で、一見してライフルスコープであることが分かります。
高級感よりも主張の明確性を強調するデザインです。
付属品もシンプル。説明書、登録してねシート、保護キャップ。
多くの人は保護キャップをバトラークリーク製などに交換するので、輸送時や保管時に最低限の保護をする程度の安物です。
私も対物をバトラー02A(30mm)にしたので付属品は使いません。接眼はハダカのままでおk
説明書もAR Opticsシリーズ共通のようです。レティクルの説明だけ個別のようです。
入門者には不親切ですが、タクティカルラインの商品を買う人って大体ガンヲタなので問題ないんでしょう(笑)
それでは、本体を見ていきましょう。
本体はこういう感じ。
仕上はしっかりとしたマット調で、エッジもしっかりと立っています。
本製品の最大の特徴である、パワーダイアル部分のビルトインスルーレバーが印象的です。
スルーレバーは折り畳みが可能です。スチール製で剛性もあります。
パワーダイアルには適度なトルクがあり、スルーレバーで動かすときにはスルッっと動いてくれます。
エアソフト向けスコープのねっとりした動きが気に入らない私には好印象でした。
レティクルは「BTR」(ブシュネル・タクティカル・レティクル)というレティクルだそうです。
いわゆるホースシュー(馬のひづめ)型で、素早いサイティングができるようになっています。
また、FFP(ファースト・フォーカル・プレーン)式で倍率に応じてレティクルサイズが変わるため弾道の落下量を把握しやすいです。
パワーダイアルは、低倍率域が広く高倍率域が狭くなる方式。いわゆるAカーブです。
倍率変化が人間の知覚にとって自然になる方式ですね。一眼レフのレンズなどではおなじみです。
多くのライフルスコープは倍率間の回転角度が等しく、
低倍率は目盛ひとつで大きく変化するのに高倍率ではなかなか変化しないという違和感がありますが、
このスコープでは自然な変化でとても見やすいです。
視度調整も備わっています。1.25周の回転で上の画像程度の調整幅があります。このダイアルもスムーズに回せます。
ただ、遊びが大きいため、視度調節ダイアルを緩めると結構ぐらつきます。
このあたりは値段や移動量との兼ね合いがあるので仕方ないかもしれません。
ダイアル部下面。
製造国は韓国です。その下の文字はモデル名で、シリアルナンバーの表記はありません。
エレクターチューブ保持はコイルスプリング方式です。
ダイアル部分です。
エレベーション、ウェインデージ、イルミネーションの各ダイアルが集約されています。
ダイアルのエッジはしっかりしていて滑りにくいです。
エレベーション、ウィンデージともに0.1MIL/クリックです。
どちらも実際には10周ほど回りますが、公式には60MIL※とされています。
どちらにせよ相当広い調整幅があります。
クリック感はかなりはっきりとしており、安物スコープにありがちなネットリ感はありません。
また、バーニアスケールも入っており、今何周目かが分かりやすいです。
なお、バーニアスケールはメーカー発表の調整域に対応した60MIL分(6周)がカウント対象のようです。
※60MIL≒約216MOA
イルミネーションはレッドのみで11段階です。
スコープのイルミは薄暗がり~真っ暗闇で使ってナンボですので、このように細かい調整が効く方が有利です。
ただ、残念なのが輝度調整ダイアルで、クリック感がいまいちです。ほかの出来がいいだけに・・・惜しいね。
ウィンデージ・エレベーションダイアルは、イモネジを緩めることで向きを変えることが可能です。
このスコープにはゼロストップ機能はついていないので回転域制限はできませんので、ダイアルを外す場面はないでしょう。
ダイアルのタワー部分は安価なスコープと同じ真鍮製となっています。コストダウンの影響ですね。
イルミネーション用のバッテリーは、入手が容易なCR2032を使用します。
接点構造やコーティングもそれなりにしっかりしています。
バーニアスケールは15目盛分振ってあります。
このスコープはMIL系なので6目盛しか使いませんので残りは無駄ですね。
MOAモデルに流用することでも目論んでいるんでしょうか・・・?
接眼側のレンズコーティングです。
緑系+青紫系のコーティングがされているように見えます。
この価格帯になってくると全レンズに多層コートを施せるので、見え味はかなりクリアです。
(後掲の屋外写真を参照してください)
対物側のコーティングは緑系です。
単に緑といっても透明感のある緑なので、光の透過率が高いのだと思います。
なお、射出瞳径は1倍時13mm、4倍時6mmで十分な明るさを誇ります。
コーティングと合わせると優秀な光学系を有すると考えられます。
それでは、屋外での見え方を検証してみましょう。
(あとから気づいたんですが、カメラのレンズにゴミが・・・。スコープとは無関係なので無視してください。)
検証場所は近所の公園です。
視点位置から写真中央の物置まで約55mです。
撮影は8月5日14時〜15時、天気は晴れまたは曇り、f42mm/ISO800/F22絞り優先オート/露出±0です。
まずは1倍時の見え方です。
レンズ端部も含めて全域でシャープな像です。
また、明るさも十分で、色味もバランス感のある原色再現系です。
倍率も「ちゃんと」1倍で、裸眼時との差がなく使いやすいですね。
アイリリーフは実測約80mm~100mmで、最近流行のロングアイリリーフ機種に比べると覗ける範囲はシビアです。
1倍時、イルミネーションを最大輝度で点灯させました。
日中はうっすら赤みがかかる程度で、イルミネーションの恩恵は感じられません。
ですのでダットサイト的な使い方は不得意だと思われます。
もっとも、日中はレティクルが視認しやすいので問題は少ないのではないでしょうか。
むしろこのスコープのイルミは夜間にこそ本領を発揮するので参考までとしてください。
2倍時の見え方です。
これも1倍時と同じく全域でクリアです。
3倍時の見え方です。
気持ち程度1倍時に比べてシャープさが減った気もしますが、それでも十分シャープです。
4倍時の見え方です。
これも気持ち程度解像感が減った気がしますが実用範囲だと思います。
帰宅後、写真をガッツリ拡大してみると、赤色の色収差が発生していることが判明しましたが、
機械を通して拡大しなければわからない収差です。
ズームするごとに解像感が若干失われるのは残念ですが、
エアソフト向けスコープのようなぼんやりとした解像度低下ではないので、
致命的な欠点かといわれると個人的には否定票を投じておくことにします。
むしろ、この赤色収差を差し引いても、十分な解像感と明るさを有していることのほうが評価に値すると思います。
続いて、3m先の近距離の物体を覗いてみました。
驚くことにこの距離でもしっかりピントが合っています。
さすがにこの距離だと物体に対する歪みとパララックスも顕著になり実用外ではありますが、
優秀な光学設計であることが推認できます。
今度は歪みをみてみましょう。
画像では像がケラれるほど極端に光軸をずらしています。
このとき、奥(約10m先)の柵がゆがんでいることが視認できます。
実際には目と接眼レンズ位置も関係するのでこの画像以上にゆがんで見えることもありますが、
ちゃんと銃にマウントし、ちゃんとストックに頬付してアイリリーフ範囲内で覗くという「普通の使い方」をすれば問題ないはずです。
3m先@4倍。
4倍でも完璧にピントが合っています。
このときパララックスは赤いポール幅程度は発生しますが、エアガンであれば実際上問題にならないでしょう。
むしろ、エアソフトの実用距離である10m程度も離れれば十分にパララックスが取れるうえ、
おそらくこのスコープでそんな精密射撃はしない(笑)ので問題ないです。
このあたりまで克服しようと思ったら、①レンズやチューブ径を大きくするか、
②加工コストの高い「非球面レンズ」や「低分散(ED)レンズ」の採用を余儀なくされます。
ショートスコープの場合①は採りえない選択肢なので②が選択されますが、
結果的にそれが価格面に大きく反映されてしまいます。
高価なモデルの低歪/高解像感はこれに由来していて、およそ越えられない壁になっています。
しかし、こんな普及価格でこれだけの性能を発揮できるのだから、そこに不満をぶつけるのは筋違いですね。
こんどは、夜間のイルミネーションを見てみます。背景は病院の検査棟です。
撮影は8月5日19時~20時頃、天気は曇り、f42mm/ISO800/ss5"/F22/露出+1.0です。
輝度1@1x
輝度1@2x
輝度1@3x
輝度1@4x
先に述べたとおり、このスコープのイルミネーションは夜間にこそ本領を発揮します。
夜間は時間帯によって必要とされるレティクル輝度が異なりますので、
色の数よりも輝度の段階数のほうが重要です。
輝度が低いと当然レティクルが見えませんし、輝度が高いと鏡筒内やレンズの反射で対象物が見えなくなります。
このスコープは輝度調整が十分に細かいので、目的物を邪魔することはありません。
また画像からも分かるように、像は十分に明るいです。
多少でも光源があれば、レンズの集光効果や視度補正効果も相俟《あいま》って対象を捕捉しやすいです。
夜戦にこのスコープを投入してみたところ、物陰に隠れる敵影をしっかり明確に視認することができました。
リーパーズのアキュショットと比較しても物陰の敵影の視認性は高いように感じました。
輝度2~11@4x
しかし、このスコープにも欠点が。
個体差かもしれないので一概には言えませんが、私のものは「エッチングレティクル面が汚い」です。
輝度を最大、倍率を1倍にして暗いところを覗くと、レティクル面に無数のゴミが付着しているのが見えます。
このあたりはコストとの兼ね合いなのか、私の買った商品がたまたまハズレだったのか定かではありませんが、
どちらにせよ、販売価格的にはこの程度の検品体制が限界なのかもしれません。
もっとも、現実には輝度11の等倍で暗闇を覗く場面はないでしょうし、
仮にこのセッティングで使うとすれば明るめの夕方や日の出前でしょうから、
ゴミは事実上視認できないことになりそうです。
個人的には、実用上支障がなければそれでいいですからね。
ちなみに、私が夜戦で好んで使うのは輝度2です。
等倍ではダットサイト、ズーム域で狙撃をするのにちょうどいい明るさです。
それと、輝度4あたりから対物側のレティクルの反射が視認されやすくなります。
写真は輝度11で鏡筒反射をとらえた画像になります。
夜戦ではこのような光源が居場所を察知される原因になりますので、
自分の夜間視力との兼ね合いで許容できるぎりぎりの明るさを選ぶことになるでしょう。
総評。
低価格かつハイパフォーマンスなスコープを求めるのであれば、おすすめできる一本です。
北米での実売価格は〜230ドルで、送料50ドルとしても3万円以下で購入できます。 ※もちろん個人輸入ですよ!
レンズコーティングや光透過率をかんがみれば優秀な光学系を備えているといえますし、
スルーレバー標準装備、FFPであること、E/Wの調整量やイルミネーションの段階の多さをこの価格で実現できている機種はそう多くありません。
もちろん、色収差やレティクルガラスなどでツメが甘い部分も見られますが、それ以外の長所を台無しにするほどのものとは言えません。
絶対的な性能や満足度でいうと上級価格帯の製品には敵いませんが、
この価格帯の中、あるいは普及価格帯の中という括りで「より良い」性能と満足度を得たいならこの機種を選んで損はないのではないかと考えられます。
エアソフト用スコープからのアップグレードを考えている人、ショートスコープで最低限まともな性能を求める人に対しては強くお勧めできる商品といえます。
付録
Bushnell AR Optics 1-4x24mm ThrowDown PCL | Novel Arms TAC ONE 1.2-4x24mm | Leapers Accushot 1-4x28mm Gen5 | |
倍率 | 1~4倍 | 1.2~4倍 | 1~4倍 |
対物レンズ径 | 24mm | 24mm | 28mm |
チューブ径 | 30mm | 30mm | 30mm |
全長 | 240mm | 263mm | 266mm |
重量 | 492g | 393g | 550g |
アイリリーフ (最低倍率) | 80~100mm程度 | 80~130mm程度 | 80~140mm? |
アイリリーフ (最高倍率) | 80~93mm (3.2~3.6inch) | 80~110mm程度 | 80~140mm? |
パララックス設定 | 100yds | 不明 | 100yds |
調整ステップ | 0.1MIL (約0.36MOA) | 1/4MOA | 1/2MOA |
1周当たりの移動量 | 60クリック (6MIL) | 60クリック (15MOA) | 不明 |
エレベーション | 60MIL(約216MOA)以上 | 85MOA | 不明 |
ウィンデージ | 60MIL(約216MOA)以上 | 91MOA | 不明 |
レティクル | BTR (FFP) | Mil-Dot (SFP) | Mil-Dot/サークル (SFP) |
イルミネーション | 赤/11段階 | 赤/11段階 | 36色/ON-OFFのみ |
射出瞳径(最小/最大) | 13mm / 6mm | 14mm / 8mm | 不明 |
レンズコーティング(対物) | グリーン系多層 | グリーン系多層 | グリーン系多層 |
レンズコーティング(接眼) | グリーン系+青紫系多層 | グリーン系多層 | グリーン系多層 |
Field of View (最小/最大) | 33m / 11m | 不明 | 23.9m / 8.8m |
価格 | $204〜229(MSPR$418.95) | 1万円前後(MSPR13,800円) | $135前後(MSPR$169.97) |
※ノーベルTAC ONEのデータは、ハンクさんの記事(http://slaughter.militaryblog.jp/e332226.html)から頂きました。
ハンクさんありがとうございます。
撮影環境
ハード:Nikon D90 + AS-F NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6G
画質:RAW (Adobe RGB 12bit) → JPG (sRGB 8bit)
設定:色温度3700K(夜)5000K(残り)、F22(レンズ覗時)、ss5秒(夜)、色相±0、ビビッド、アクティブDライティング弱、フラッシュなし
現像ソフト:Photoshop Lightroom 5.5
※上記記載のないF値やシャッタースピードその他詳細は、画像のEXIFデータを参照してください。
※私の感じた色調に近づけるように明るさ等の補正をしています。絶対的な色調を保障するものではありません。
※表示ディスプレイによっては、当方の想定する色調と異なる場合があります。
お世話様です。
これ、よさそうですね。長物系のマッチにも使えそう。
本当はもう少し軽いともっとよいですけど。