当ブログは、ユーザー主導でエアソフトガン業界を発展させることを最終目標に掲げるウェブサイトです。
読者様へ情報提供を行うため、私が経験したことや設計した成果物は
可能な限りオープンソース、コピーレフトで公開いたします。積極的にご活用ください。
また、本ブログは色覚に制限がある読者様のために、
赤色と緑色の文字を意図的に避けて記述しています。読みづらいとは存じますが、どうかご理解ください。
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S.L.A.S.H.システム商品化 - 2014年09月22日
みなさんこんにちは。ネヴリンです。
今日は、
PTS MASADA ACR用KEYMODハンドガードである
S.L.A.S.H. (スラッシュ:Super Lightweight And Slim Handguard)
SLASHは、2013年10月に基礎概念を公開した、ネヴリンオリジナルデザインのMASADA用ハンドガードです。
装着状態のサンプルがコレ。
(今回はiPadのカメラなので画質が荒いです。ごめんね。)
さてさて、発表当時は「アイデアはあっても資金力が無いため実現出来ない」アクセサリでしたが、
この度、国内大手エアソフトパーツメーカーであるライラクス様のご協力により、
このアイデアを実現できることになりました。
ということで、本日、ライラクス本社(東大阪)に行って商品について簡単な打ち合わせをしてきました。
現段階では商品化確定ではないので、断定的表現は差し控えさせていただきますが、
それでも十中八九程度の高確率で商品化されるそうです。
なお、発売時期は未定ですが、設計完了済みなのでリリースもかなり早く行えるとのことです。
そこで今回は、ステマもかねてキーフィーチャーをご紹介いたします。
(1)KEYMOD規格正式準拠のハンドガード
(2)軽量薄型デザイン(約170g、厚み43mm)
(3)かんたん脱着にもガチガチ固定にも対応
(4)PTSはポン付対応、WE MSKは多分小加工で装着可
(5)バッテリーはセパレートLipoやヌンチャクNiHMが利用可能
以上数点が、本案の特徴であります。
(1)「KEYMOD規格正式準拠のハンドガード」について。
この案は、VLTORとNOVESKEの共同開発したオープンソースのレール規格、
「KEYMOD」システムに完全対応しています。
主要なエアソフト向けハンドガードと異なり、実銃用レールが装着可能です。
エアソフト用の「ただの穴」と違って、KEYMODスロットの正式規格は加工コストが上がりますが、
正式規格準拠だけは妥協できない旨の意思をライラクス様に伝えてあるので、
よっぽどコストオーバーしない限りは実現されるでしょう。
なお、スロット数は側面が10個、それ以外は9個です。
SLASH 10.0の「10.0」は対応バレルの最低長を表します。つまり切り詰めたバレルもおkということですね。
(2)「軽量薄型デザイン(約170g、厚み43mm)」について。
本案は、PTSのリアルサイズハンドガードより細く、良好なグリッピングを提供するデザインです。
ハンドガードの板厚も近年の流行に合わせて極限まで薄くし軽量化も実現しています。
指が短い私にとっては細いハンドガードは握りやすいので助かりますし、
近年はM4でもURX4然りNSR然り細いのが流行ってるので一応トレンドを押さえたデザインです(笑)
また、滑り止めを兼ねた水平スリットが入っており、同時にスリット裏が補強リブ構造にもなっているのでたわみに強いですよ。
(3)「かんたん脱着にもガチガチ固定にも対応」について。
PTSの純正ポリマーハンドガードはハンドガードをピン1本で留めているのと、樹脂特有のたわみがあるため、
たとえば精度の要求されるレーザーのような装備や、バイポッドのような強い負荷がかかるアクセサリとは相性がよくありませんでした。
かといって、レールハンドガードやMSKハンドガード流用では太く重いためユーザビリティが下がってしまいます。
そこで、「精度が必要なときには固定サポートネジを使用し、
脱着性が重視される環境ではピン1本で脱着することを選べる」ようにしました。
(4)「PTSはポン付対応、WE MSKは多分小加工で装着可」について。
本案は、PTSのサイズをベースに作ったハンドガードであります。
上のサンプル写真で示しているように、当然PTS MASADAにはポン付です。
WE MSKは持ってませんが、MASADAとMSKの違いはフレーム前方のハンドガード位置固定スリットのサイズのみだと聞き及んでいるので、
ハンドガードの突起を加工すればMSKでも使用可能なはずです。
(5)「バッテリーはセパレートLipoやヌンチャクNiHMが利用可能」について。
利用可能なバッテリーは、基本的にセパレートorヌンチャク型です。
ネヴリンはET1のレッドラインセパレート(7.4V 1400mAh)
を推奨バッテリーに指定させていただきます。
このほかにも、類似の形状をしたバッテリーであれば使用可能です。
また、PTSリアルサイズハンドガード同様、
バレルのクランクレバーを外せば非セパレートのバッテリー
(おおむね15mm厚程度まで)が装着可能です。
写真ではFETがクランクレバーの部分にありますけど、通常のMASADAは配線のみなので
スペース上3セルリポ等にも対応することを補足しておきます。
最後に、繰り返しますが、近いうちにSLASHは商品化されるハズです。
ただ、PTSのMASADA ACRは現在生産停止中なので、
対象個体数的にSLASHも数量限定生産になることがほぼ確実です。
また、加工以外でコストを抑えるために、
店頭販売は行わずWEB販売のみとなる可能性もあります。
価格についても未定で、
中華に対抗すべく希望価格帯を1~1.5万と指定しましたが、
この価格帯でショーバイをするのは無理でしょうから
1.5~2万円程度と見ておいた方がいいかもしれません。
こればかりはライラクス様任せになりますので、連絡待ちです。
それでもACRスキーの皆様は入手手段とお金に糸目をつけない変態紳士諸兄(笑)だと存じておりますので、ご興味がおありでしたらぜひともお試しくださいませ。 » 続きを読む
今日は、
PTS MASADA ACR用KEYMODハンドガードである
S.L.A.S.H. (スラッシュ:Super Lightweight And Slim Handguard)
の 商 品 化 情 報 です。
SLASHは、2013年10月に基礎概念を公開した、ネヴリンオリジナルデザインのMASADA用ハンドガードです。
装着状態のサンプルがコレ。
(今回はiPadのカメラなので画質が荒いです。ごめんね。)
さてさて、発表当時は「アイデアはあっても資金力が無いため実現出来ない」アクセサリでしたが、
この度、国内大手エアソフトパーツメーカーであるライラクス様のご協力により、
このアイデアを実現できることになりました。
ということで、本日、ライラクス本社(東大阪)に行って商品について簡単な打ち合わせをしてきました。
現段階では商品化確定ではないので、断定的表現は差し控えさせていただきますが、
それでも十中八九程度の高確率で商品化されるそうです。
なお、発売時期は未定ですが、設計完了済みなのでリリースもかなり早く行えるとのことです。
そこで今回は、ステマもかねてキーフィーチャーをご紹介いたします。
(1)KEYMOD規格正式準拠のハンドガード
(2)軽量薄型デザイン(約170g、厚み43mm)
(3)かんたん脱着にもガチガチ固定にも対応
(4)PTSはポン付対応、WE MSKは多分小加工で装着可
(5)バッテリーはセパレートLipoやヌンチャクNiHMが利用可能
以上数点が、本案の特徴であります。
(1)「KEYMOD規格正式準拠のハンドガード」について。
この案は、VLTORとNOVESKEの共同開発したオープンソースのレール規格、
「KEYMOD」システムに完全対応しています。
主要なエアソフト向けハンドガードと異なり、実銃用レールが装着可能です。
エアソフト用の「ただの穴」と違って、KEYMODスロットの正式規格は加工コストが上がりますが、
正式規格準拠だけは妥協できない旨の意思をライラクス様に伝えてあるので、
よっぽどコストオーバーしない限りは実現されるでしょう。
なお、スロット数は側面が10個、それ以外は9個です。
SLASH 10.0の「10.0」は対応バレルの最低長を表します。つまり切り詰めたバレルもおkということですね。
(2)「軽量薄型デザイン(約170g、厚み43mm)」について。
本案は、PTSのリアルサイズハンドガードより細く、良好なグリッピングを提供するデザインです。
ハンドガードの板厚も近年の流行に合わせて極限まで薄くし軽量化も実現しています。
指が短い私にとっては細いハンドガードは握りやすいので助かりますし、
近年はM4でもURX4然りNSR然り細いのが流行ってるので一応トレンドを押さえたデザインです(笑)
また、滑り止めを兼ねた水平スリットが入っており、同時にスリット裏が補強リブ構造にもなっているのでたわみに強いですよ。
(3)「かんたん脱着にもガチガチ固定にも対応」について。
PTSの純正ポリマーハンドガードはハンドガードをピン1本で留めているのと、樹脂特有のたわみがあるため、
たとえば精度の要求されるレーザーのような装備や、バイポッドのような強い負荷がかかるアクセサリとは相性がよくありませんでした。
かといって、レールハンドガードやMSKハンドガード流用では太く重いためユーザビリティが下がってしまいます。
そこで、「精度が必要なときには固定サポートネジを使用し、
脱着性が重視される環境ではピン1本で脱着することを選べる」ようにしました。
(4)「PTSはポン付対応、WE MSKは多分小加工で装着可」について。
本案は、PTSのサイズをベースに作ったハンドガードであります。
上のサンプル写真で示しているように、当然PTS MASADAにはポン付です。
WE MSKは持ってませんが、MASADAとMSKの違いはフレーム前方のハンドガード位置固定スリットのサイズのみだと聞き及んでいるので、
ハンドガードの突起を加工すればMSKでも使用可能なはずです。
(5)「バッテリーはセパレートLipoやヌンチャクNiHMが利用可能」について。
利用可能なバッテリーは、基本的にセパレートorヌンチャク型です。
ネヴリンはET1のレッドラインセパレート(7.4V 1400mAh)
を推奨バッテリーに指定させていただきます。
このほかにも、類似の形状をしたバッテリーであれば使用可能です。
また、PTSリアルサイズハンドガード同様、
バレルのクランクレバーを外せば非セパレートのバッテリー
(おおむね15mm厚程度まで)が装着可能です。
写真ではFETがクランクレバーの部分にありますけど、通常のMASADAは配線のみなので
スペース上3セルリポ等にも対応することを補足しておきます。
最後に、繰り返しますが、近いうちにSLASHは商品化されるハズです。
ただ、PTSのMASADA ACRは現在生産停止中なので、
対象個体数的にSLASHも数量限定生産になることがほぼ確実です。
また、加工以外でコストを抑えるために、
店頭販売は行わずWEB販売のみとなる可能性もあります。
価格についても未定で、
中華に対抗すべく希望価格帯を1~1.5万と指定しましたが、
この価格帯でショーバイをするのは無理でしょうから
1.5~2万円程度と見ておいた方がいいかもしれません。
こればかりはライラクス様任せになりますので、連絡待ちです。
それでもACRスキーの皆様は入手手段とお金に糸目をつけない変態紳士諸兄(笑)だと存じておりますので、ご興味がおありでしたらぜひともお試しくださいませ。 » 続きを読む
Bushnell AR Optics 1-4x24mm Throw Down PCL - 2014年08月06日
みなさんこんにちは。ネヴリンです。
今回は
Bushnell AR Optics 1-4x24mm Throw Down PCL
のインプレです。
ハンティングアイテムを主力商品とするブッシュネル社ですが、
近年のタクティカルブームに合わせて「AR Optics」シリーズをライナップしています。
このモデルは、去年(2013年)の春ごろに発表されたモデルで、
3GUMマッチ向けのスピードズームレバーと、.223弾専用のレティクル採用が最大の特徴です。
従来から販売されていたAR Optics 1-4x24mmをアップグレードしたモデルです。
AR Opticsシリーズは、性能が良好で値段がかなり手頃ということで現地でも人気があり、
300ドル以下の普及価格帯スコープでは定番アイテムのようです。
ただコスト的に手抜きな部分は結構あるので、そのあたりは要考慮事項になるでしょう。
まずはパッケージから。このあたりはさらっと読み流してください。
パッケージデザインはそこそこ派手で、一見してライフルスコープであることが分かります。
高級感よりも主張の明確性を強調するデザインです。
付属品もシンプル。説明書、登録してねシート、保護キャップ。
多くの人は保護キャップをバトラークリーク製などに交換するので、輸送時や保管時に最低限の保護をする程度の安物です。
私も対物をバトラー02A(30mm)にしたので付属品は使いません。接眼はハダカのままでおk
説明書もAR Opticsシリーズ共通のようです。レティクルの説明だけ個別のようです。
入門者には不親切ですが、タクティカルラインの商品を買う人って大体ガンヲタなので問題ないんでしょう(笑)
それでは、本体を見ていきましょう。
本体はこういう感じ。
仕上はしっかりとしたマット調で、エッジもしっかりと立っています。
本製品の最大の特徴である、パワーダイアル部分のビルトインスルーレバーが印象的です。
スルーレバーは折り畳みが可能です。スチール製で剛性もあります。
パワーダイアルには適度なトルクがあり、スルーレバーで動かすときにはスルッっと動いてくれます。
エアソフト向けスコープのねっとりした動きが気に入らない私には好印象でした。
レティクルは「BTR」(ブシュネル・タクティカル・レティクル)というレティクルだそうです。
いわゆるホースシュー(馬のひづめ)型で、素早いサイティングができるようになっています。
また、FFP(ファースト・フォーカル・プレーン)式で倍率に応じてレティクルサイズが変わるため弾道の落下量を把握しやすいです。
パワーダイアルは、低倍率域が広く高倍率域が狭くなる方式。いわゆるAカーブです。
倍率変化が人間の知覚にとって自然になる方式ですね。一眼レフのレンズなどではおなじみです。
多くのライフルスコープは倍率間の回転角度が等しく、
低倍率は目盛ひとつで大きく変化するのに高倍率ではなかなか変化しないという違和感がありますが、
このスコープでは自然な変化でとても見やすいです。
視度調整も備わっています。1.25周の回転で上の画像程度の調整幅があります。このダイアルもスムーズに回せます。
ただ、遊びが大きいため、視度調節ダイアルを緩めると結構ぐらつきます。
このあたりは値段や移動量との兼ね合いがあるので仕方ないかもしれません。
ダイアル部下面。
製造国は韓国です。その下の文字はモデル名で、シリアルナンバーの表記はありません。
エレクターチューブ保持はコイルスプリング方式です。
ダイアル部分です。
エレベーション、ウェインデージ、イルミネーションの各ダイアルが集約されています。
ダイアルのエッジはしっかりしていて滑りにくいです。
エレベーション、ウィンデージともに0.1MIL/クリックです。
どちらも実際には10周ほど回りますが、公式には60MIL※とされています。
どちらにせよ相当広い調整幅があります。
クリック感はかなりはっきりとしており、安物スコープにありがちなネットリ感はありません。
また、バーニアスケールも入っており、今何周目かが分かりやすいです。
なお、バーニアスケールはメーカー発表の調整域に対応した60MIL分(6周)がカウント対象のようです。
イルミネーションはレッドのみで11段階です。
スコープのイルミは薄暗がり~真っ暗闇で使ってナンボですので、このように細かい調整が効く方が有利です。
ただ、残念なのが輝度調整ダイアルで、クリック感がいまいちです。ほかの出来がいいだけに・・・惜しいね。
ウィンデージ・エレベーションダイアルは、イモネジを緩めることで向きを変えることが可能です。
このスコープにはゼロストップ機能はついていないので回転域制限はできませんので、ダイアルを外す場面はないでしょう。
ダイアルのタワー部分は安価なスコープと同じ真鍮製となっています。コストダウンの影響ですね。
イルミネーション用のバッテリーは、入手が容易なCR2032を使用します。
接点構造やコーティングもそれなりにしっかりしています。
バーニアスケールは15目盛分振ってあります。
このスコープはMIL系なので6目盛しか使いませんので残りは無駄ですね。
MOAモデルに流用することでも目論んでいるんでしょうか・・・?
接眼側のレンズコーティングです。
緑系+青紫系のコーティングがされているように見えます。
この価格帯になってくると全レンズに多層コートを施せるので、見え味はかなりクリアです。
(後掲の屋外写真を参照してください)
対物側のコーティングは緑系です。
単に緑といっても透明感のある緑なので、光の透過率が高いのだと思います。
なお、射出瞳径は1倍時13mm、4倍時6mmで十分な明るさを誇ります。
コーティングと合わせると優秀な光学系を有すると考えられます。
それでは、屋外での見え方を検証してみましょう。
(あとから気づいたんですが、カメラのレンズにゴミが・・・。スコープとは無関係なので無視してください。)
検証場所は近所の公園です。
視点位置から写真中央の物置まで約55mです。
撮影は8月5日14時〜15時、天気は晴れまたは曇り、f42mm/ISO800/F22絞り優先オート/露出±0です。
まずは1倍時の見え方です。
レンズ端部も含めて全域でシャープな像です。
また、明るさも十分で、色味もバランス感のある原色再現系です。
倍率も「ちゃんと」1倍で、裸眼時との差がなく使いやすいですね。
アイリリーフは実測約80mm~100mmで、最近流行のロングアイリリーフ機種に比べると覗ける範囲はシビアです。
1倍時、イルミネーションを最大輝度で点灯させました。
日中はうっすら赤みがかかる程度で、イルミネーションの恩恵は感じられません。
ですのでダットサイト的な使い方は不得意だと思われます。
もっとも、日中はレティクルが視認しやすいので問題は少ないのではないでしょうか。
むしろこのスコープのイルミは夜間にこそ本領を発揮するので参考までとしてください。
2倍時の見え方です。
これも1倍時と同じく全域でクリアです。
3倍時の見え方です。
気持ち程度1倍時に比べてシャープさが減った気もしますが、それでも十分シャープです。
4倍時の見え方です。
これも気持ち程度解像感が減った気がしますが実用範囲だと思います。
帰宅後、写真をガッツリ拡大してみると、赤色の色収差が発生していることが判明しましたが、
機械を通して拡大しなければわからない収差です。
ズームするごとに解像感が若干失われるのは残念ですが、
エアソフト向けスコープのようなぼんやりとした解像度低下ではないので、
致命的な欠点かといわれると個人的には否定票を投じておくことにします。
むしろ、この赤色収差を差し引いても、十分な解像感と明るさを有していることのほうが評価に値すると思います。
続いて、3m先の近距離の物体を覗いてみました。
驚くことにこの距離でもしっかりピントが合っています。
さすがにこの距離だと物体に対する歪みとパララックスも顕著になり実用外ではありますが、
優秀な光学設計であることが推認できます。
今度は歪みをみてみましょう。
画像では像がケラれるほど極端に光軸をずらしています。
このとき、奥(約10m先)の柵がゆがんでいることが視認できます。
実際には目と接眼レンズ位置も関係するのでこの画像以上にゆがんで見えることもありますが、
ちゃんと銃にマウントし、ちゃんとストックに頬付してアイリリーフ範囲内で覗くという「普通の使い方」をすれば問題ないはずです。
3m先@4倍。
4倍でも完璧にピントが合っています。
このときパララックスは赤いポール幅程度は発生しますが、エアガンであれば実際上問題にならないでしょう。
むしろ、エアソフトの実用距離である10m程度も離れれば十分にパララックスが取れるうえ、
おそらくこのスコープでそんな精密射撃はしない(笑)ので問題ないです。
このあたりまで克服しようと思ったら、①レンズやチューブ径を大きくするか、
②加工コストの高い「非球面レンズ」や「低分散(ED)レンズ」の採用を余儀なくされます。
ショートスコープの場合①は採りえない選択肢なので②が選択されますが、
結果的にそれが価格面に大きく反映されてしまいます。
高価なモデルの低歪/高解像感はこれに由来していて、およそ越えられない壁になっています。
しかし、こんな普及価格でこれだけの性能を発揮できるのだから、そこに不満をぶつけるのは筋違いですね。
こんどは、夜間のイルミネーションを見てみます。背景は病院の検査棟です。
撮影は8月5日19時~20時頃、天気は曇り、f42mm/ISO800/ss5"/F22/露出+1.0です。
輝度1@1x
輝度1@2x
輝度1@3x
輝度1@4x
先に述べたとおり、このスコープのイルミネーションは夜間にこそ本領を発揮します。
夜間は時間帯によって必要とされるレティクル輝度が異なりますので、
色の数よりも輝度の段階数のほうが重要です。
輝度が低いと当然レティクルが見えませんし、輝度が高いと鏡筒内やレンズの反射で対象物が見えなくなります。
このスコープは輝度調整が十分に細かいので、目的物を邪魔することはありません。
また画像からも分かるように、像は十分に明るいです。
多少でも光源があれば、レンズの集光効果や視度補正効果も相俟《あいま》って対象を捕捉しやすいです。
夜戦にこのスコープを投入してみたところ、物陰に隠れる敵影をしっかり明確に視認することができました。
リーパーズのアキュショットと比較しても物陰の敵影の視認性は高いように感じました。
輝度2~11@4x
しかし、このスコープにも欠点が。
個体差かもしれないので一概には言えませんが、私のものは「エッチングレティクル面が汚い」です。
輝度を最大、倍率を1倍にして暗いところを覗くと、レティクル面に無数のゴミが付着しているのが見えます。
このあたりはコストとの兼ね合いなのか、私の買った商品がたまたまハズレだったのか定かではありませんが、
どちらにせよ、販売価格的にはこの程度の検品体制が限界なのかもしれません。
もっとも、現実には輝度11の等倍で暗闇を覗く場面はないでしょうし、
仮にこのセッティングで使うとすれば明るめの夕方や日の出前でしょうから、
ゴミは事実上視認できないことになりそうです。
個人的には、実用上支障がなければそれでいいですからね。
ちなみに、私が夜戦で好んで使うのは輝度2です。
等倍ではダットサイト、ズーム域で狙撃をするのにちょうどいい明るさです。
それと、輝度4あたりから対物側のレティクルの反射が視認されやすくなります。
写真は輝度11で鏡筒反射をとらえた画像になります。
夜戦ではこのような光源が居場所を察知される原因になりますので、
自分の夜間視力との兼ね合いで許容できるぎりぎりの明るさを選ぶことになるでしょう。
総評。
低価格かつハイパフォーマンスなスコープを求めるのであれば、おすすめできる一本です。
北米での実売価格は〜230ドルで、送料50ドルとしても3万円以下で購入できます。 ※もちろん個人輸入ですよ!
レンズコーティングや光透過率をかんがみれば優秀な光学系を備えているといえますし、
スルーレバー標準装備、FFPであること、E/Wの調整量やイルミネーションの段階の多さをこの価格で実現できている機種はそう多くありません。
もちろん、色収差やレティクルガラスなどでツメが甘い部分も見られますが、それ以外の長所を台無しにするほどのものとは言えません。
絶対的な性能や満足度でいうと上級価格帯の製品には敵いませんが、
この価格帯の中、あるいは普及価格帯の中という括りで「より良い」性能と満足度を得たいならこの機種を選んで損はないのではないかと考えられます。
エアソフト用スコープからのアップグレードを考えている人、ショートスコープで最低限まともな性能を求める人に対しては強くお勧めできる商品といえます。
付録
※ノーベルTAC ONEのデータは、ハンクさんの記事(http://slaughter.militaryblog.jp/e332226.html)から頂きました。
ハンクさんありがとうございます。
撮影環境
ハード:Nikon D90 + AS-F NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6G
画質:RAW (Adobe RGB 12bit) → JPG (sRGB 8bit)
設定:色温度3700K(夜)5000K(残り)、F22(レンズ覗時)、ss5秒(夜)、色相±0、ビビッド、アクティブDライティング弱、フラッシュなし
現像ソフト:Photoshop Lightroom 5.5
※上記記載のないF値やシャッタースピードその他詳細は、画像のEXIFデータを参照してください。
※私の感じた色調に近づけるように明るさ等の補正をしています。絶対的な色調を保障するものではありません。
※表示ディスプレイによっては、当方の想定する色調と異なる場合があります。
今回は
Bushnell AR Optics 1-4x24mm Throw Down PCL
のインプレです。
ハンティングアイテムを主力商品とするブッシュネル社ですが、
近年のタクティカルブームに合わせて「AR Optics」シリーズをライナップしています。
このモデルは、去年(2013年)の春ごろに発表されたモデルで、
3GUMマッチ向けのスピードズームレバーと、.223弾専用のレティクル採用が最大の特徴です。
従来から販売されていたAR Optics 1-4x24mmをアップグレードしたモデルです。
AR Opticsシリーズは、性能が良好で値段がかなり手頃ということで現地でも人気があり、
300ドル以下の普及価格帯スコープでは定番アイテムのようです。
ただコスト的に手抜きな部分は結構あるので、そのあたりは要考慮事項になるでしょう。
まずはパッケージから。このあたりはさらっと読み流してください。
パッケージデザインはそこそこ派手で、一見してライフルスコープであることが分かります。
高級感よりも主張の明確性を強調するデザインです。
付属品もシンプル。説明書、登録してねシート、保護キャップ。
多くの人は保護キャップをバトラークリーク製などに交換するので、輸送時や保管時に最低限の保護をする程度の安物です。
私も対物をバトラー02A(30mm)にしたので付属品は使いません。接眼はハダカのままでおk
説明書もAR Opticsシリーズ共通のようです。レティクルの説明だけ個別のようです。
入門者には不親切ですが、タクティカルラインの商品を買う人って大体ガンヲタなので問題ないんでしょう(笑)
それでは、本体を見ていきましょう。
本体はこういう感じ。
仕上はしっかりとしたマット調で、エッジもしっかりと立っています。
本製品の最大の特徴である、パワーダイアル部分のビルトインスルーレバーが印象的です。
スルーレバーは折り畳みが可能です。スチール製で剛性もあります。
パワーダイアルには適度なトルクがあり、スルーレバーで動かすときにはスルッっと動いてくれます。
エアソフト向けスコープのねっとりした動きが気に入らない私には好印象でした。
レティクルは「BTR」(ブシュネル・タクティカル・レティクル)というレティクルだそうです。
いわゆるホースシュー(馬のひづめ)型で、素早いサイティングができるようになっています。
また、FFP(ファースト・フォーカル・プレーン)式で倍率に応じてレティクルサイズが変わるため弾道の落下量を把握しやすいです。
パワーダイアルは、低倍率域が広く高倍率域が狭くなる方式。いわゆるAカーブです。
倍率変化が人間の知覚にとって自然になる方式ですね。一眼レフのレンズなどではおなじみです。
多くのライフルスコープは倍率間の回転角度が等しく、
低倍率は目盛ひとつで大きく変化するのに高倍率ではなかなか変化しないという違和感がありますが、
このスコープでは自然な変化でとても見やすいです。
視度調整も備わっています。1.25周の回転で上の画像程度の調整幅があります。このダイアルもスムーズに回せます。
ただ、遊びが大きいため、視度調節ダイアルを緩めると結構ぐらつきます。
このあたりは値段や移動量との兼ね合いがあるので仕方ないかもしれません。
ダイアル部下面。
製造国は韓国です。その下の文字はモデル名で、シリアルナンバーの表記はありません。
エレクターチューブ保持はコイルスプリング方式です。
ダイアル部分です。
エレベーション、ウェインデージ、イルミネーションの各ダイアルが集約されています。
ダイアルのエッジはしっかりしていて滑りにくいです。
エレベーション、ウィンデージともに0.1MIL/クリックです。
どちらも実際には10周ほど回りますが、公式には60MIL※とされています。
どちらにせよ相当広い調整幅があります。
クリック感はかなりはっきりとしており、安物スコープにありがちなネットリ感はありません。
また、バーニアスケールも入っており、今何周目かが分かりやすいです。
なお、バーニアスケールはメーカー発表の調整域に対応した60MIL分(6周)がカウント対象のようです。
※60MIL≒約216MOA
イルミネーションはレッドのみで11段階です。
スコープのイルミは薄暗がり~真っ暗闇で使ってナンボですので、このように細かい調整が効く方が有利です。
ただ、残念なのが輝度調整ダイアルで、クリック感がいまいちです。ほかの出来がいいだけに・・・惜しいね。
ウィンデージ・エレベーションダイアルは、イモネジを緩めることで向きを変えることが可能です。
このスコープにはゼロストップ機能はついていないので回転域制限はできませんので、ダイアルを外す場面はないでしょう。
ダイアルのタワー部分は安価なスコープと同じ真鍮製となっています。コストダウンの影響ですね。
イルミネーション用のバッテリーは、入手が容易なCR2032を使用します。
接点構造やコーティングもそれなりにしっかりしています。
バーニアスケールは15目盛分振ってあります。
このスコープはMIL系なので6目盛しか使いませんので残りは無駄ですね。
MOAモデルに流用することでも目論んでいるんでしょうか・・・?
接眼側のレンズコーティングです。
緑系+青紫系のコーティングがされているように見えます。
この価格帯になってくると全レンズに多層コートを施せるので、見え味はかなりクリアです。
(後掲の屋外写真を参照してください)
対物側のコーティングは緑系です。
単に緑といっても透明感のある緑なので、光の透過率が高いのだと思います。
なお、射出瞳径は1倍時13mm、4倍時6mmで十分な明るさを誇ります。
コーティングと合わせると優秀な光学系を有すると考えられます。
それでは、屋外での見え方を検証してみましょう。
(あとから気づいたんですが、カメラのレンズにゴミが・・・。スコープとは無関係なので無視してください。)
検証場所は近所の公園です。
視点位置から写真中央の物置まで約55mです。
撮影は8月5日14時〜15時、天気は晴れまたは曇り、f42mm/ISO800/F22絞り優先オート/露出±0です。
まずは1倍時の見え方です。
レンズ端部も含めて全域でシャープな像です。
また、明るさも十分で、色味もバランス感のある原色再現系です。
倍率も「ちゃんと」1倍で、裸眼時との差がなく使いやすいですね。
アイリリーフは実測約80mm~100mmで、最近流行のロングアイリリーフ機種に比べると覗ける範囲はシビアです。
1倍時、イルミネーションを最大輝度で点灯させました。
日中はうっすら赤みがかかる程度で、イルミネーションの恩恵は感じられません。
ですのでダットサイト的な使い方は不得意だと思われます。
もっとも、日中はレティクルが視認しやすいので問題は少ないのではないでしょうか。
むしろこのスコープのイルミは夜間にこそ本領を発揮するので参考までとしてください。
2倍時の見え方です。
これも1倍時と同じく全域でクリアです。
3倍時の見え方です。
気持ち程度1倍時に比べてシャープさが減った気もしますが、それでも十分シャープです。
4倍時の見え方です。
これも気持ち程度解像感が減った気がしますが実用範囲だと思います。
帰宅後、写真をガッツリ拡大してみると、赤色の色収差が発生していることが判明しましたが、
機械を通して拡大しなければわからない収差です。
ズームするごとに解像感が若干失われるのは残念ですが、
エアソフト向けスコープのようなぼんやりとした解像度低下ではないので、
致命的な欠点かといわれると個人的には否定票を投じておくことにします。
むしろ、この赤色収差を差し引いても、十分な解像感と明るさを有していることのほうが評価に値すると思います。
続いて、3m先の近距離の物体を覗いてみました。
驚くことにこの距離でもしっかりピントが合っています。
さすがにこの距離だと物体に対する歪みとパララックスも顕著になり実用外ではありますが、
優秀な光学設計であることが推認できます。
今度は歪みをみてみましょう。
画像では像がケラれるほど極端に光軸をずらしています。
このとき、奥(約10m先)の柵がゆがんでいることが視認できます。
実際には目と接眼レンズ位置も関係するのでこの画像以上にゆがんで見えることもありますが、
ちゃんと銃にマウントし、ちゃんとストックに頬付してアイリリーフ範囲内で覗くという「普通の使い方」をすれば問題ないはずです。
3m先@4倍。
4倍でも完璧にピントが合っています。
このときパララックスは赤いポール幅程度は発生しますが、エアガンであれば実際上問題にならないでしょう。
むしろ、エアソフトの実用距離である10m程度も離れれば十分にパララックスが取れるうえ、
おそらくこのスコープでそんな精密射撃はしない(笑)ので問題ないです。
このあたりまで克服しようと思ったら、①レンズやチューブ径を大きくするか、
②加工コストの高い「非球面レンズ」や「低分散(ED)レンズ」の採用を余儀なくされます。
ショートスコープの場合①は採りえない選択肢なので②が選択されますが、
結果的にそれが価格面に大きく反映されてしまいます。
高価なモデルの低歪/高解像感はこれに由来していて、およそ越えられない壁になっています。
しかし、こんな普及価格でこれだけの性能を発揮できるのだから、そこに不満をぶつけるのは筋違いですね。
こんどは、夜間のイルミネーションを見てみます。背景は病院の検査棟です。
撮影は8月5日19時~20時頃、天気は曇り、f42mm/ISO800/ss5"/F22/露出+1.0です。
輝度1@1x
輝度1@2x
輝度1@3x
輝度1@4x
先に述べたとおり、このスコープのイルミネーションは夜間にこそ本領を発揮します。
夜間は時間帯によって必要とされるレティクル輝度が異なりますので、
色の数よりも輝度の段階数のほうが重要です。
輝度が低いと当然レティクルが見えませんし、輝度が高いと鏡筒内やレンズの反射で対象物が見えなくなります。
このスコープは輝度調整が十分に細かいので、目的物を邪魔することはありません。
また画像からも分かるように、像は十分に明るいです。
多少でも光源があれば、レンズの集光効果や視度補正効果も相俟《あいま》って対象を捕捉しやすいです。
夜戦にこのスコープを投入してみたところ、物陰に隠れる敵影をしっかり明確に視認することができました。
リーパーズのアキュショットと比較しても物陰の敵影の視認性は高いように感じました。
輝度2~11@4x
しかし、このスコープにも欠点が。
個体差かもしれないので一概には言えませんが、私のものは「エッチングレティクル面が汚い」です。
輝度を最大、倍率を1倍にして暗いところを覗くと、レティクル面に無数のゴミが付着しているのが見えます。
このあたりはコストとの兼ね合いなのか、私の買った商品がたまたまハズレだったのか定かではありませんが、
どちらにせよ、販売価格的にはこの程度の検品体制が限界なのかもしれません。
もっとも、現実には輝度11の等倍で暗闇を覗く場面はないでしょうし、
仮にこのセッティングで使うとすれば明るめの夕方や日の出前でしょうから、
ゴミは事実上視認できないことになりそうです。
個人的には、実用上支障がなければそれでいいですからね。
ちなみに、私が夜戦で好んで使うのは輝度2です。
等倍ではダットサイト、ズーム域で狙撃をするのにちょうどいい明るさです。
それと、輝度4あたりから対物側のレティクルの反射が視認されやすくなります。
写真は輝度11で鏡筒反射をとらえた画像になります。
夜戦ではこのような光源が居場所を察知される原因になりますので、
自分の夜間視力との兼ね合いで許容できるぎりぎりの明るさを選ぶことになるでしょう。
総評。
低価格かつハイパフォーマンスなスコープを求めるのであれば、おすすめできる一本です。
北米での実売価格は〜230ドルで、送料50ドルとしても3万円以下で購入できます。 ※もちろん個人輸入ですよ!
レンズコーティングや光透過率をかんがみれば優秀な光学系を備えているといえますし、
スルーレバー標準装備、FFPであること、E/Wの調整量やイルミネーションの段階の多さをこの価格で実現できている機種はそう多くありません。
もちろん、色収差やレティクルガラスなどでツメが甘い部分も見られますが、それ以外の長所を台無しにするほどのものとは言えません。
絶対的な性能や満足度でいうと上級価格帯の製品には敵いませんが、
この価格帯の中、あるいは普及価格帯の中という括りで「より良い」性能と満足度を得たいならこの機種を選んで損はないのではないかと考えられます。
エアソフト用スコープからのアップグレードを考えている人、ショートスコープで最低限まともな性能を求める人に対しては強くお勧めできる商品といえます。
付録
Bushnell AR Optics 1-4x24mm ThrowDown PCL | Novel Arms TAC ONE 1.2-4x24mm | Leapers Accushot 1-4x28mm Gen5 | |
倍率 | 1~4倍 | 1.2~4倍 | 1~4倍 |
対物レンズ径 | 24mm | 24mm | 28mm |
チューブ径 | 30mm | 30mm | 30mm |
全長 | 240mm | 263mm | 266mm |
重量 | 492g | 393g | 550g |
アイリリーフ (最低倍率) | 80~100mm程度 | 80~130mm程度 | 80~140mm? |
アイリリーフ (最高倍率) | 80~93mm (3.2~3.6inch) | 80~110mm程度 | 80~140mm? |
パララックス設定 | 100yds | 不明 | 100yds |
調整ステップ | 0.1MIL (約0.36MOA) | 1/4MOA | 1/2MOA |
1周当たりの移動量 | 60クリック (6MIL) | 60クリック (15MOA) | 不明 |
エレベーション | 60MIL(約216MOA)以上 | 85MOA | 不明 |
ウィンデージ | 60MIL(約216MOA)以上 | 91MOA | 不明 |
レティクル | BTR (FFP) | Mil-Dot (SFP) | Mil-Dot/サークル (SFP) |
イルミネーション | 赤/11段階 | 赤/11段階 | 36色/ON-OFFのみ |
射出瞳径(最小/最大) | 13mm / 6mm | 14mm / 8mm | 不明 |
レンズコーティング(対物) | グリーン系多層 | グリーン系多層 | グリーン系多層 |
レンズコーティング(接眼) | グリーン系+青紫系多層 | グリーン系多層 | グリーン系多層 |
Field of View (最小/最大) | 33m / 11m | 不明 | 23.9m / 8.8m |
価格 | $204〜229(MSPR$418.95) | 1万円前後(MSPR13,800円) | $135前後(MSPR$169.97) |
※ノーベルTAC ONEのデータは、ハンクさんの記事(http://slaughter.militaryblog.jp/e332226.html)から頂きました。
ハンクさんありがとうございます。
撮影環境
ハード:Nikon D90 + AS-F NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6G
画質:RAW (Adobe RGB 12bit) → JPG (sRGB 8bit)
設定:色温度3700K(夜)5000K(残り)、F22(レンズ覗時)、ss5秒(夜)、色相±0、ビビッド、アクティブDライティング弱、フラッシュなし
現像ソフト:Photoshop Lightroom 5.5
※上記記載のないF値やシャッタースピードその他詳細は、画像のEXIFデータを参照してください。
※私の感じた色調に近づけるように明るさ等の補正をしています。絶対的な色調を保障するものではありません。
※表示ディスプレイによっては、当方の想定する色調と異なる場合があります。
VORTEX SPARC II インプレ - 2014年06月26日
みなんさんこんばんは。
ネヴリンです。
今日はVORTEX SPARC II のインプレです。
VORTEX OPTICS社(米国)の製造する、コストパフォーマンスのよいダットサイトです。
SPARC IIは2014年春に発売されたばかりの新製品となります。
参照:VORTEX OPTICS SPARC II Red Dot Sight
国内での流通はあるようですが、まだ情報が少ないですね。
今回は、パチSPARCとSPARC(旧モデル)も併せて比較してみたいと思います。
表記がややこしくなるので、SPARC(旧モデル)は「GEN1」、パチSPARCは「レプ」と書きます。
まずは見た目から。
見た目はAimpoint T-1系の派生品です。
ただ、左側に制御ユニットがついているというのが、SPARC系の特徴です。
GEN1は制御ユニットのサイズがさらに大きく、ボタン数も多い(4ボタン)です。
そう考えるとSPARC IIはデザインが洗練され、シンプルになったといえるでしょうね。
全長はSPARC IIのほうが3mm程度長いです。
細かいことをいえば、GEN1とSPARC IIでは、「SPARC」と「VORTEX」のロゴの位置が入れ替わってます。
SPARC IIは電池キャップにVORTEX社のロゴが入っているので制御ユニットにはモデル名を入れることにしたんでしょうね。
SPARC IIにはレンズキャップが付属します。
内径は約28mmで、GEN1のほか、T1にもつけられるようです。
とはいえ、このキャップはかなりゴツいので、つけるかどうかは好みが分かれるところですね。
私はGunsModifyのT-1用カバーをつけるので、付属カバーはつけない方向でいきます。
ちなみに、このキャップはバトラーキャップよりもはめ込みが浅いので、保護レンズを挟むって方は工夫が必要です。
さて、実用一辺倒の人は気になる「レンズ品質」です。
見ての通り、極低レベルの青味はあるものの、
全体的にかなり高いレベルでクリアです。
(この背景は白のコピー用紙です)
PCのディスプレイ越しにカラーチャートを覗いてみても、どの色も均一に表示されており、どこかの色域が欠けるということもありません。
あ、ちなみに使用したカラーチャートはこれです。保存してお持ち帰りください。(別窓で開きます)
接眼レンズには反射防止の緑系のコーティングがされています。
対物レンズ(前側)です。
Aimpointと同じように、ナイトビジョンに対応したコーティングがされています。
非常に高品質なルビー系多層コートです。
さらに、対物レンズの前に、ブルー系?のコーティングが施された平面レンズが1枚追加されています。
(正直この写真では見えません、ごめんね!)
これはGEN1や他社製ダットサイトではあまり見かけない構造です。
対物レンズはゴミが付着しやすく、ふき取り時にメインの対物レンズに触ることが多いですが、その際にコーティングがはがれたりレンズが外れてしまう危険があるようで、そのことに配慮して装着されたのだと思います。全長がGEN1よりわずかに長い原因はコレでしょうね。
この平面レンズ、光の透過率が非常に高いです。そのせいでメインの対物レンズの反射が丸見えなので、乱反射防止効果はありませんが、視界の邪魔になったり、明るさの低下は感じませんでした。
さらに、内側にネジが切ってあるので、別売りのキルフラッシュ(ARD30)が装着できます。GEN1と共通のようです。
接眼側もネジが切ってあります。
こちらには、GEN1の2xブースターと同じスレッド規格になっており、GEN1を持ってる人はブースターが流用できます。
ただ、このブースターは視界が「ものっっっすごく狭い」ので、実際には外付けのブースターを使うと思いますけどね。
なお、このブースターをレプには付けられません。
また、レプのブースターを実物につけるのも不可です。ネジのピッチに互換性がないようです。
GEN1のレンズ品質も見ておきます。
GEN1も、レンズの品質だけで言うとSPARC IIと同等です。
製造時期の問題だと思いますが、私のGEN1はSPARC IIの発表がなされる直前だったこともあり、かなり高品質でした。
GEN1を実物T-1と比較したことがありますが、そのときGEN1とT-1が同じくらいのクリアさだったので、
それと同等品質のSPARC IIはT-1並にクリアということになると思います。
※このGEN1は2013年10月に米国から直輸入したモデルです。それ以前の時期モデルの一部や、
旧パッケージのモデルについては、レンズの青味が強いものがあるようなので、注意してください。
GEN1のネジ切りはSPARC IIと全く同じなのでアクセサリは共通です。
それに比べてレプリカはというと・・・
写真のように、青味が強いです。
実物の明るさにははるかに及びません。
実用範囲外ということはないですが、値段相応の見え方です。
私が輸入したときは送料込65ドルくらいだったので、そんなもんでしょうね。
最近のルビーコート版パチT-1がかなり明るく、それこそノーベルT1並の個体もあるようなので、それに比べると物足りなさはあります。
レプはレンズの固定方法が実物と異なりリングで押さえる方式です。
マウント固定ネジの穴も貫通式のため、実物のような防水性や曇り止め効果はありません。
この辺は値段の限界というところでしょうか。
エレベーション・ウィンデージダイアルです。
移動量も90MOAと、ダットサイトにしては十分な量があります。1クリック1MOA/1周45クリックだそうです。
T-1と同じくキャップの突起でダイアルを回せます。
が、この突起が小さく回しにくいです。
でもアイアルのネジ部はマイナスドライバーで回せるので現実的な問題はないでしょう。
キャップはワイヤーで留められていて、紛失対策がされています。
GEN1ではワイヤーが本体に接着されていましたが、SPARC IIでは非固定となり、動かしやすくなっています。
レプはこのワイヤーの品質が低く、大体気づいたらちぎれています。
私はレプのワイヤーをDIYした国産品ワイヤーに交換して使ってます。
GEN1もこのあたりはSPARC IIと共通です。
レプはキャップの形状が実物と違います。そして、防水用?のOリングも太く、締め込み感が若干悪いです。
見た目はともかく、ダイアル部分はエレベション・ウィンデージともに割としっかりしている(少なくともパチT-1よりは)ので、実用上は困らないです。
あと、実物もレプもですが、ダイアルは緩めすぎると普通に抜けてしまいます。
実物の場合、下手をすれば充填されたガスが抜けるので緩めすぎは要注意です。
SPARC IIの電池は、調達性の良いCR2032を使います。
GEN1ではCR2354という大きな電池を使っていましたが、コンビニや街の電気屋さんでは買えず、大きい家電量販店や通販でしか電池が買えませんでした。
この辺はユーザーからのフィードバックでこうなったのでしょうね。
ちなみに、電池の持ちは最高輝度で300時間、最低輝度で5000時間だそうです。
GEN1より電池が小さくなったのに、持続時間は伸びてます。変態ですね。
しかも12時間で自動的にシャットダウンされるので消し忘れても大丈夫です。
GEN1との違いは電池の種類だけでなく、接点の方式も違います。
GEN1では本体側にマイナスを、蓋のバネでプラスを拾います。そのため、ふたの締め忘れで接触不良が発生しうる構造でした。
SPARC IIからは本体側だけで接触が完結するようになっており、最悪ふたを閉めなくても電源が拾えます。
実のところ、SPARC IIは電池ぶたにロゴが入るため、それが斜めにならないようにするには電池ぶたの締め込み方に依存しない方式が必要だったのだろうと推測してます。
レプはGEN1のパクリなので、形状はGEN1とほぼ一緒です。
でも電池ぶたのネジ部がアルミでできており、ネジ山の切り口も汚いので、バリ取りが必要です。
また、本体側の電池の接触面は酸化していることがあるので注意です。
マウントはAimpoint T-1用のものが使えるそうです。
私はマウントにはこだわらないので、DYTACやG&PのパチT-1用マウントを加工して使うようにしてます。
パチマウントにはG&Pのように取り付け穴の位置や寸法が合わないものが多いので、原則加工が必要です。
実T-1用なら、寸法は割と厳密に決まっているので心配は少ないですが・・・
SPARC IIでは位置決めの溝(Mae in Chinaのシールが貼ってあるとこ)の幅が広くなっており、より相性問題が生じにくくなっているようです。
消してる部分はシリアルナンバー。
その上は・・・「特許申請中」だそうです。何の特許でしょうね?
なお、SPARC IIをはじめとする、VORTEXのダットサイトの生産は中国で行われているようです。
このコスパのよさは、中国やフィリピンのようなアジア圏で製造を行い、同社は品質管理をするという手法をとっているから実現できるようで、アメリカで生産すれば価格はきっとこの2倍になるんでしょうね。
というか、VORTEX社製品は、性能に対して値段が良心的すぎるというツッコミが多く、光学性能だけで見れば同社の製品は2倍の価格で売られてても不思議じゃないという評価もあるようです。
非コスプレかつ実用重視なら私もSPARCの比較相手はT-1で問題ないと思ってますし、あながちネットの評価も間違ってないんじゃねーの?
GEN1のマウント部分。
溝が若干狭い以外は同じ。
この辺はT-1マウントに規格に合わせて作ってるから、そんなに大きくは変わらないでしょうね。
GEN1やSPARC IIに1本だけ刺さってるプラスネジは、おそらく曇り止め窒素ガス注入用の穴。
ドットの明るさについて
ドットの明るさはかなり重要。
昼は日光に負けない視認性の高さ、夜は視界を遮らない適度な明るさが求められます。
SPARC IIの輝度設定は8段階+NV2段階の合計10段階。
GEN1の輝度設定は10段階+NV2段階の合計12段階。
レプの輝度設定は10段階+NV風ミュートモード1段階の合計11段階です。
SPARC IIのドットは、日中でもはっきりと見えます。
部屋の中ではチューブ内に乱反射していましたが、外で使うにはこれくらいの輝度が必要になるということでしょう。
実際、6月下旬のこの時期に、晴天の昼1時~2時までSPARC IIを持ってランチや買い物に出かけるという不審者ごっこをしましたが、どんな場所でも実際ドットははっきり見えました。
この写真のように白い建物が背景だと若干青味が買った視界になりますが、視認性の悪さは一切ありません。
ドットもほぼ真円で優秀です。
続いてGEN1。写真大き目で。
GEN1もSPARC II同様、視認性の良いドットが燦然と輝いています。
見え方もSPARC IIとほぼ一緒ですが、個人的にはSPARC IIのほうがクセがないように感じました。
実物2つに対してレプは、日中の野外では性能不足が顕著です。
実物と撮影条件をそろえたためか、ドットがほとんど写っていませんが、実際にはもうちょい(あくまで「もうちょい」)だけ視認性はあります。
いや・・・視認性が「ないこともない」、というのが正確でしょうかね。
一回電池の消耗を疑って電池交換をしたんですが、こんなもんでした。
ぶっちゃけ、他のT-1系レプリカよりはるかに最高輝度が低く、炎天下の野外では全く使えない可能性もあります。
ちなみにうちのレプの明るさは、SPARC IIでいうところの2段階目と3段階目の間くらい、GEN1で言えば2段階目と同等の明るさでした。
ただし、こんな実物でも弱点がありあます。
それは「夜のドットの輝度」です。
ぶっちゃけ1段階目でもかなり明るいため、夜は対象物をとらえにくいです。
そういう時はNVモードの明るい方にセットして使ってます。これくらいで十分。
なお、NVモードは「ただ輝度を落としただけ」なので基本見ようと思えば見ることができます。
(見えなかったらごめんね。私はテレビのリモコンとかの赤外線光もわずかに見えてしまう体質なので、もしかしたら見えないかも)
最後に、総評。
低価格・高品質なダットサイトはいくつか機種がありますが、コンパクトな機種といえば、ノーベルT-1とSPARCあたりでしょう。
実用という意味ではパチSPARCは外れそうですが、値段が値段なので、選択肢としては「無きにしも非ず」ですかね。
とはいえ、ルビーコート版パチT-1の性能が高く、あるいはオープン型が安いので、これを抑えてまで買うメリットは少なく感じます。
実物SPARCは、新旧いずれも性能が高く、見え方としては実物T-1に引けを取らないと思います。
さらに、SPARC IIは実売199ドル、GEN1に至っては処分品扱いで160ドル以下で出ているところさえあります。
個人輸入なら、手間はかかりますが送料込みで2万円以下で買えてしまうことを考えると、相当な価格競争力ではないでしょうかね。
ノーベルT-1が1万~1万8千程度であることを考えると、私ならSPARC一択だと思います。
あとはSPARC GEN1とSPARC IIの違い程度でしょうが、多少高くても使いやすさと将来性をとるならSPARC II、純然たるツールとして完全に使い潰すのであればGEN1を選ぶことになると思います。
ちなみに、VORTEX STRIKEFIRE IIっていう手もあるんですけどね。
特に赤緑切り替えができる方は、レンズの透明度が高く、SPARC以上に使いやすいと聞き及んでます。安いしね。
いずれにせよ、コンパクト系でコスパのいいダットサイトならSPARCが決定版だと思いますよ。
付録
撮影環境
ハード:Nikon D90 + AS-F NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6G
画質:RAW (Adobe RGB) → JPG (sRGB 8bit)
設定:色温度5000K、色相±0、ビビッド、アクティブDライティング弱、フラッシュなし
現像ソフト:Photoshop Lightroom 5
※F値やシャッタースピードその他詳細は、画像のEXIFデータを参照してください。
※私の感じた色調に近づけるように明るさ等の補正をしています。絶対的な色調を保障するものではありません。
※表示ディスプレイによっては、当方の想定する色調と異なる場合があります。
ネヴリンです。
今日はVORTEX SPARC II のインプレです。
VORTEX OPTICS社(米国)の製造する、コストパフォーマンスのよいダットサイトです。
SPARC IIは2014年春に発売されたばかりの新製品となります。
参照:VORTEX OPTICS SPARC II Red Dot Sight
国内での流通はあるようですが、まだ情報が少ないですね。
今回は、パチSPARCとSPARC(旧モデル)も併せて比較してみたいと思います。
表記がややこしくなるので、SPARC(旧モデル)は「GEN1」、パチSPARCは「レプ」と書きます。
まずは見た目から。
見た目はAimpoint T-1系の派生品です。
ただ、左側に制御ユニットがついているというのが、SPARC系の特徴です。
GEN1は制御ユニットのサイズがさらに大きく、ボタン数も多い(4ボタン)です。
そう考えるとSPARC IIはデザインが洗練され、シンプルになったといえるでしょうね。
全長はSPARC IIのほうが3mm程度長いです。
細かいことをいえば、GEN1とSPARC IIでは、「SPARC」と「VORTEX」のロゴの位置が入れ替わってます。
SPARC IIは電池キャップにVORTEX社のロゴが入っているので制御ユニットにはモデル名を入れることにしたんでしょうね。
SPARC IIにはレンズキャップが付属します。
内径は約28mmで、GEN1のほか、T1にもつけられるようです。
とはいえ、このキャップはかなりゴツいので、つけるかどうかは好みが分かれるところですね。
私はGunsModifyのT-1用カバーをつけるので、付属カバーはつけない方向でいきます。
ちなみに、このキャップはバトラーキャップよりもはめ込みが浅いので、保護レンズを挟むって方は工夫が必要です。
さて、実用一辺倒の人は気になる「レンズ品質」です。
見ての通り、極低レベルの青味はあるものの、
全体的にかなり高いレベルでクリアです。
(この背景は白のコピー用紙です)
PCのディスプレイ越しにカラーチャートを覗いてみても、どの色も均一に表示されており、どこかの色域が欠けるということもありません。
あ、ちなみに使用したカラーチャートはこれです。保存してお持ち帰りください。(別窓で開きます)
接眼レンズには反射防止の緑系のコーティングがされています。
対物レンズ(前側)です。
Aimpointと同じように、ナイトビジョンに対応したコーティングがされています。
非常に高品質なルビー系多層コートです。
さらに、対物レンズの前に、ブルー系?のコーティングが施された平面レンズが1枚追加されています。
(正直この写真では見えません、ごめんね!)
これはGEN1や他社製ダットサイトではあまり見かけない構造です。
対物レンズはゴミが付着しやすく、ふき取り時にメインの対物レンズに触ることが多いですが、その際にコーティングがはがれたりレンズが外れてしまう危険があるようで、そのことに配慮して装着されたのだと思います。全長がGEN1よりわずかに長い原因はコレでしょうね。
この平面レンズ、光の透過率が非常に高いです。そのせいでメインの対物レンズの反射が丸見えなので、乱反射防止効果はありませんが、視界の邪魔になったり、明るさの低下は感じませんでした。
さらに、内側にネジが切ってあるので、別売りのキルフラッシュ(ARD30)が装着できます。GEN1と共通のようです。
接眼側もネジが切ってあります。
こちらには、GEN1の2xブースターと同じスレッド規格になっており、GEN1を持ってる人はブースターが流用できます。
ただ、このブースターは視界が「ものっっっすごく狭い」ので、実際には外付けのブースターを使うと思いますけどね。
なお、このブースターをレプには付けられません。
また、レプのブースターを実物につけるのも不可です。ネジのピッチに互換性がないようです。
GEN1のレンズ品質も見ておきます。
GEN1も、レンズの品質だけで言うとSPARC IIと同等です。
製造時期の問題だと思いますが、私のGEN1はSPARC IIの発表がなされる直前だったこともあり、かなり高品質でした。
GEN1を実物T-1と比較したことがありますが、そのときGEN1とT-1が同じくらいのクリアさだったので、
それと同等品質のSPARC IIはT-1並にクリアということになると思います。
※このGEN1は2013年10月に米国から直輸入したモデルです。それ以前の時期モデルの一部や、
旧パッケージのモデルについては、レンズの青味が強いものがあるようなので、注意してください。
GEN1のネジ切りはSPARC IIと全く同じなのでアクセサリは共通です。
それに比べてレプリカはというと・・・
写真のように、青味が強いです。
実物の明るさにははるかに及びません。
実用範囲外ということはないですが、値段相応の見え方です。
私が輸入したときは送料込65ドルくらいだったので、そんなもんでしょうね。
最近のルビーコート版パチT-1がかなり明るく、それこそノーベルT1並の個体もあるようなので、それに比べると物足りなさはあります。
レプはレンズの固定方法が実物と異なりリングで押さえる方式です。
マウント固定ネジの穴も貫通式のため、実物のような防水性や曇り止め効果はありません。
この辺は値段の限界というところでしょうか。
エレベーション・ウィンデージダイアルです。
移動量も90MOAと、ダットサイトにしては十分な量があります。1クリック1MOA/1周45クリックだそうです。
T-1と同じくキャップの突起でダイアルを回せます。
が、この突起が小さく回しにくいです。
でもアイアルのネジ部はマイナスドライバーで回せるので現実的な問題はないでしょう。
キャップはワイヤーで留められていて、紛失対策がされています。
GEN1ではワイヤーが本体に接着されていましたが、SPARC IIでは非固定となり、動かしやすくなっています。
レプはこのワイヤーの品質が低く、大体気づいたらちぎれています。
私はレプのワイヤーをDIYした国産品ワイヤーに交換して使ってます。
GEN1もこのあたりはSPARC IIと共通です。
レプはキャップの形状が実物と違います。そして、防水用?のOリングも太く、締め込み感が若干悪いです。
見た目はともかく、ダイアル部分はエレベション・ウィンデージともに割としっかりしている(少なくともパチT-1よりは)ので、実用上は困らないです。
あと、実物もレプもですが、ダイアルは緩めすぎると普通に抜けてしまいます。
実物の場合、下手をすれば充填されたガスが抜けるので緩めすぎは要注意です。
SPARC IIの電池は、調達性の良いCR2032を使います。
GEN1ではCR2354という大きな電池を使っていましたが、コンビニや街の電気屋さんでは買えず、大きい家電量販店や通販でしか電池が買えませんでした。
この辺はユーザーからのフィードバックでこうなったのでしょうね。
ちなみに、電池の持ちは最高輝度で300時間、最低輝度で5000時間だそうです。
GEN1より電池が小さくなったのに、持続時間は伸びてます。変態ですね。
しかも12時間で自動的にシャットダウンされるので消し忘れても大丈夫です。
GEN1との違いは電池の種類だけでなく、接点の方式も違います。
GEN1では本体側にマイナスを、蓋のバネでプラスを拾います。そのため、ふたの締め忘れで接触不良が発生しうる構造でした。
SPARC IIからは本体側だけで接触が完結するようになっており、最悪ふたを閉めなくても電源が拾えます。
実のところ、SPARC IIは電池ぶたにロゴが入るため、それが斜めにならないようにするには電池ぶたの締め込み方に依存しない方式が必要だったのだろうと推測してます。
レプはGEN1のパクリなので、形状はGEN1とほぼ一緒です。
でも電池ぶたのネジ部がアルミでできており、ネジ山の切り口も汚いので、バリ取りが必要です。
また、本体側の電池の接触面は酸化していることがあるので注意です。
マウントはAimpoint T-1用のものが使えるそうです。
私はマウントにはこだわらないので、DYTACやG&PのパチT-1用マウントを加工して使うようにしてます。
パチマウントにはG&Pのように取り付け穴の位置や寸法が合わないものが多いので、原則加工が必要です。
実T-1用なら、寸法は割と厳密に決まっているので心配は少ないですが・・・
SPARC IIでは位置決めの溝(Mae in Chinaのシールが貼ってあるとこ)の幅が広くなっており、より相性問題が生じにくくなっているようです。
消してる部分はシリアルナンバー。
その上は・・・「特許申請中」だそうです。何の特許でしょうね?
なお、SPARC IIをはじめとする、VORTEXのダットサイトの生産は中国で行われているようです。
このコスパのよさは、中国やフィリピンのようなアジア圏で製造を行い、同社は品質管理をするという手法をとっているから実現できるようで、アメリカで生産すれば価格はきっとこの2倍になるんでしょうね。
というか、VORTEX社製品は、性能に対して値段が良心的すぎるというツッコミが多く、光学性能だけで見れば同社の製品は2倍の価格で売られてても不思議じゃないという評価もあるようです。
非コスプレかつ実用重視なら私もSPARCの比較相手はT-1で問題ないと思ってますし、あながちネットの評価も間違ってないんじゃねーの?
GEN1のマウント部分。
溝が若干狭い以外は同じ。
この辺はT-1マウントに規格に合わせて作ってるから、そんなに大きくは変わらないでしょうね。
GEN1やSPARC IIに1本だけ刺さってるプラスネジは、おそらく曇り止め窒素ガス注入用の穴。
ドットの明るさについて
ドットの明るさはかなり重要。
昼は日光に負けない視認性の高さ、夜は視界を遮らない適度な明るさが求められます。
SPARC IIの輝度設定は8段階+NV2段階の合計10段階。
GEN1の輝度設定は10段階+NV2段階の合計12段階。
レプの輝度設定は10段階+NV風ミュートモード1段階の合計11段階です。
SPARC IIのドットは、日中でもはっきりと見えます。
部屋の中ではチューブ内に乱反射していましたが、外で使うにはこれくらいの輝度が必要になるということでしょう。
実際、6月下旬のこの時期に、晴天の昼1時~2時までSPARC IIを持ってランチや買い物に出かけるという不審者ごっこをしましたが、どんな場所でも実際ドットははっきり見えました。
この写真のように白い建物が背景だと若干青味が買った視界になりますが、視認性の悪さは一切ありません。
ドットもほぼ真円で優秀です。
続いてGEN1。写真大き目で。
GEN1もSPARC II同様、視認性の良いドットが燦然と輝いています。
見え方もSPARC IIとほぼ一緒ですが、個人的にはSPARC IIのほうがクセがないように感じました。
実物2つに対してレプは、日中の野外では性能不足が顕著です。
実物と撮影条件をそろえたためか、ドットがほとんど写っていませんが、実際にはもうちょい(あくまで「もうちょい」)だけ視認性はあります。
いや・・・視認性が「ないこともない」、というのが正確でしょうかね。
一回電池の消耗を疑って電池交換をしたんですが、こんなもんでした。
ぶっちゃけ、他のT-1系レプリカよりはるかに最高輝度が低く、炎天下の野外では全く使えない可能性もあります。
ちなみにうちのレプの明るさは、SPARC IIでいうところの2段階目と3段階目の間くらい、GEN1で言えば2段階目と同等の明るさでした。
ただし、こんな実物でも弱点がありあます。
それは「夜のドットの輝度」です。
ぶっちゃけ1段階目でもかなり明るいため、夜は対象物をとらえにくいです。
そういう時はNVモードの明るい方にセットして使ってます。これくらいで十分。
なお、NVモードは「ただ輝度を落としただけ」なので基本見ようと思えば見ることができます。
(見えなかったらごめんね。私はテレビのリモコンとかの赤外線光もわずかに見えてしまう体質なので、もしかしたら見えないかも)
最後に、総評。
低価格・高品質なダットサイトはいくつか機種がありますが、コンパクトな機種といえば、ノーベルT-1とSPARCあたりでしょう。
実用という意味ではパチSPARCは外れそうですが、値段が値段なので、選択肢としては「無きにしも非ず」ですかね。
とはいえ、ルビーコート版パチT-1の性能が高く、あるいはオープン型が安いので、これを抑えてまで買うメリットは少なく感じます。
実物SPARCは、新旧いずれも性能が高く、見え方としては実物T-1に引けを取らないと思います。
さらに、SPARC IIは実売199ドル、GEN1に至っては処分品扱いで160ドル以下で出ているところさえあります。
個人輸入なら、手間はかかりますが送料込みで2万円以下で買えてしまうことを考えると、相当な価格競争力ではないでしょうかね。
ノーベルT-1が1万~1万8千程度であることを考えると、私ならSPARC一択だと思います。
あとはSPARC GEN1とSPARC IIの違い程度でしょうが、多少高くても使いやすさと将来性をとるならSPARC II、純然たるツールとして完全に使い潰すのであればGEN1を選ぶことになると思います。
ちなみに、VORTEX STRIKEFIRE IIっていう手もあるんですけどね。
特に赤緑切り替えができる方は、レンズの透明度が高く、SPARC以上に使いやすいと聞き及んでます。安いしね。
いずれにせよ、コンパクト系でコスパのいいダットサイトならSPARCが決定版だと思いますよ。
付録
VORTEX SPARC II | VORTEX SPARC | SPARCタイプレプリカ | |
倍率 | 1倍 | 1倍/ブースター装着時2倍 | 1倍/ブースター装着時2倍 |
対物レンズ径 | 22mm | 22mm | 22mm |
アイリリーフ | 無限 | 無限 | 無限 |
パララックス設定 | パララックスフリー | パララックスフリー | 不明 |
調整ステップ | 1MOA | 1MOA | 約1MOA程度? |
1周当たりの移動量 | 45MOA | 45MOA | 約45MOA程度? |
エレベーション | 90MOA | 90MOA | 約90MOA程度? |
ウィンデージ | 90MOA | 90MOA | 約90MOA程度? |
全長 | 81mm | 78mm | 80mm |
重量(本体のみ) | 129g | 131g | 142g |
ドットサイズ | 2MOA円形 | 2MOA円形 | 円形 |
ドットカラー | 赤 | 赤 | 赤 |
レンズコーティング(対物) | ルビー系多層(NV対応) | ルビー系多層(NV対応) | ルビー系 |
レンズコーティング(接眼) | グリーン系 | グリーン系 | 青系? |
バッテリー | CR2032 | CR2354 | CR2354 |
連続時間(最大輝度) | 300時間 | 120時間 | 24時間以下 |
連続時間(最低輝度) | 5000時間 | 3400時間 | 不明 |
マウント | ハイ/ロー/ライザー Aimpoint T-1互換 |
ハイ/ロー/ライザー Aimpoint T-1互換 |
ハイ/ロー/ライザー |
ショックプルーフ | .375 H&H 1000発以上 | .375 H&H 1000発以上 | 不明 |
ウォータープルーフ | 有り | 有り | 無し |
フォグプルーフ | 有り(窒素ガス) | 有り(窒素ガス) | 無し |
価格 | $199前後(MSPR$289) | $199前後(MSPR$289) | 7000円~10000円 |
撮影環境
ハード:Nikon D90 + AS-F NIKKOR 28-300mm F3.5-5.6G
画質:RAW (Adobe RGB) → JPG (sRGB 8bit)
設定:色温度5000K、色相±0、ビビッド、アクティブDライティング弱、フラッシュなし
現像ソフト:Photoshop Lightroom 5
※F値やシャッタースピードその他詳細は、画像のEXIFデータを参照してください。
※私の感じた色調に近づけるように明るさ等の補正をしています。絶対的な色調を保障するものではありません。
※表示ディスプレイによっては、当方の想定する色調と異なる場合があります。
副産物 - 2014年02月13日
みなさんこんにちは、ネヴリンです。
ビルトインFCU(ファイアコントロールユニット)の開発をしていて気づいたんですが、
ムズカシイね、あれ。
トライアンドエラーしまくっててなかなか進みません。
終日FCUだけに精力を注げられれば早く進むんでしょうが、そういうわけにもいきませんので。。。
ということで、今回は、FCU作りの中から生まれた副産物をちょろっと紹介します。
と、いっても、ただのFETスイッチですけどねー。
どんなものかというと、コレですね。
シンプルFETスイッチシリーズ#1、「SFET-U」です。(Uはμ(マイクロ)を表すそうです)
本来は、FCUに使うMOSFET素子の耐久性を調べるために作った簡易FET基板なのですが、思いのほか性能も良くて歩留まりもいいので単体で独立することになりました。
実装済み寸法は、10x10x4mmです。※1
使用した石は、IR社製の薄くて小さいDirectFET MXシリーズの「IRF6717M」です。(写真右)
6.35x5x0.7mmのくせに、220A※2まで耐えられるスグレモノです。
表面はIRF6717Mとパワーケーブルだけを載せるので、抵抗やら何やらは裏面に配置します。(写真左)
裏面にはフライホイール用のSBDと、突入電流対策用のコンデンサなどを配置してみました。
SBDはDiodes社製の薄くて高耐久なSBRシリーズの「SBR10U200P5」です。MOSFETに似た構造のダイオードなんだってさ。
はんだパッドの空きスペース(3ヶ所)が配線引き出し用です。表面と合わせて5線式となりますね。
取り付け方法はこんな感じです。
頒布向けに英語になってますが、気にせずに読んでください……。
回路図の話とパーツリストの話は少し難しいので、ちっちゃくしておきますね。
そして、この基板の設計図をFusionPCBとかElecrowとかに持ち込んで作ってもらえるデータも置いときますね。
興味のある方は読んでください。
はい、それでは作り方を紹介します。
気合とお小遣いさえあればほとんどの人ができるカンタンなお仕事で、場合によってはハンダごての出番はありません。
まずは「基板」と「部品」を用意しましょう。
あ、上の開閉ボタン内にレシピがあります。
次に、はんだ付け関係の工具とかを用意しましょう。
(■は必須、□はあったほうがいいものを表します)
■ホットプレート(非IHのもの)
■ヒートガン
■ペーストはんだ
■つまようじ
□フラックス
□ルーペ
□無水アルコール(またはパーツクリーナー)
□ピンセット
□はんだごて
ペーストはんだ(Solder Paste)は国内では入手困難(できても高い)ので、海外の電子部品商社やeBayで買ってください。
個人で使う分には有鉛でもダイジョブだし、鉛フリーより融点が低くて使いやすいです。40gで3~4ドルくらい。
まずは、つまようじを使って基板にペーストはんだを乗せましょう。
ペーストはんだはかなり粘性が高いので、つまようじの先に少しつけて糸状になったものを基板に乗せる感じですね。
本来はステンシルシートを使うのですが、今回の基板の規模だと塗り忘れはほぼないので不要です。
乗せる量は……下の写真を参考にしてください。これが乗せる量の上限です(むしろ多いです)。
ペーストはんだの半分はフラックスなので、塗った分の約半分が金属はんだになるイメージで載せるといいかもしれません。
乗せるのに失敗したら、無水アルコールやブレーキクリーナーで、ペーストはんだを洗い流します。
はんだを乗せ終えると、部品を基板に乗せます。
乗せ方は多少アバウトで大丈夫です。
……というのも、はんだが溶けると、はんだの表面張力で部品が勝手にパッドに寄ってくれます。
そして、いよいよはんだ付けです。
やり方は簡単です。ホットプレートで焼きます。
コーヒーでも飲みながら適当にやってください。
いわゆる”自宅リフロー”とか”おうちリフロー”とかいう作業です。
スイッチサイエンスさんのこの動画を参考にしてください。
リフローは、230度前後まで温度調節ができる非IHのホットプレートを使ってください。
いろいろやり方はありますが、180度で2~3分予熱し、その後230度で一気に焼き上げます。はんだが溶け始めてから30秒くらい待てば大体ムラなくリフローできています。
また、一度リフローに使用したホットプレートは鉛や有毒有機物が付着するので、絶対に調理には使用しないでください。
これで片面の処理が完了しました。
ただし、まだ裏面が残っています。
というか、ここからが真の本番です。
ホットプレートリフローはなかなかつぶしの利くワザなので紹介したんですが、実は次に紹介する方法だけでもはんだ付けはできてしまいます。
それがヒートガンを使った、ホットエアリフローです。
ヒートガンのリフローは温度管理が大変なので、ホットプレートリフローに比べて熱破壊のリスクが高くなりますし、やり方によってははんだ付けにムラが生じてしまいます。
それゆえ、これはホットプレートで焼けない裏面の、しかも局部限定で使う最終手段※3です。……慣れれば超簡単ですけど。
やり方は、パーツをヒートガンで炙るだけです。
ただ、一応リフローの温度をイメージして、30秒~1分秒程まで15cm離れたところから熱風で予熱し、その後5cm程度までノズルを近づけ加熱します。
基板の裏側に部品が実装済みなので、傾かないように何かに乗せるとやりやすいです。(写真では毛抜きに載せてます)
また、リフロー台が金属板になっていると熱が反射して温まりやすいです。私はホットプレートの上でやってます。
今回は部品が1つだけで、しかも熱を通しやすいので比較的安全ですが、部品が多くなったり、プラスチックモールドと金属モールドが混ざっていたり、基板サイズが大きいと失敗するリスクは高まります。これだけは注意が必要です。
作業が終わると、冒頭の写真や次のような見た目になります。
最後に、なんかリフローを失敗した箇所とかをはんだごてでスポット修正し、配線作業をすれば完成です。
以上でリフロー作業は終了です。
お疲れ様でした。
今回掲載したFETは絶縁が甘い個所もあるので、サンハヤトのレジスト補修材で絶縁を強化しておきます。
なお、DLできるバージョンはそのような個所を修正したものになりますので、心配せずにご利用ください。
本FETスイッチは、SFETシリーズの最初のバージョンということで、データやレシピを含めて全情報を公開しています。
SFETシリーズは今後、
■本ユニットと同サイズでさらにMOSFET素子を強化した 「SFET-U2 (simple FET μ ULTRA)」
■本ユニットと同構成でスリム化したGATE社製PicoSSRの対抗馬 「SFET-US (simple FET μ Slim)」
■バッテリー電圧監視機能とアクティブブレーキ機能を搭載する 「SFET-ABP (simple FET ActiveBreak w/ Protection)」
■V型マイクロスイッチと寸法的に互換性のあるAB搭載 「SFET-AB-V (simple FET ActiveBreak V-type)」
の展開を予定しています。
基板発注済みなので、今月内に試作品完成、ブログにアップすると思います。
また、本FETユニットは、2月下旬から順次ヤフオクに出品します。
ご入用の方は是非ご購入ください。
あ、ツイッターに進捗状況を載せてますので、見てねー!
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ビルトインFCU(ファイアコントロールユニット)の開発をしていて気づいたんですが、
ムズカシイね、あれ。
トライアンドエラーしまくっててなかなか進みません。
終日FCUだけに精力を注げられれば早く進むんでしょうが、そういうわけにもいきませんので。。。
ということで、今回は、FCU作りの中から生まれた副産物をちょろっと紹介します。
と、いっても、ただのFETスイッチですけどねー。
どんなものかというと、コレですね。
シンプルFETスイッチシリーズ#1、「SFET-U」です。(Uはμ(マイクロ)を表すそうです)
本来は、FCUに使うMOSFET素子の耐久性を調べるために作った簡易FET基板なのですが、思いのほか性能も良くて歩留まりもいいので単体で独立することになりました。
実装済み寸法は、10x10x4mmです。※1
※1 第一次ヤフオク出品分は10x10x5mmです。
本記事掲載バージョンとは部品の仕様が異なります。
本記事掲載バージョンとは部品の仕様が異なります。
使用した石は、IR社製の薄くて小さいDirectFET MXシリーズの「IRF6717M」です。(写真右)
6.35x5x0.7mmのくせに、220A※2まで耐えられるスグレモノです。
※2 冷却機使用時連続定格。
表面はIRF6717Mとパワーケーブルだけを載せるので、抵抗やら何やらは裏面に配置します。(写真左)
裏面にはフライホイール用のSBDと、突入電流対策用のコンデンサなどを配置してみました。
SBDはDiodes社製の薄くて高耐久なSBRシリーズの「SBR10U200P5」です。MOSFETに似た構造のダイオードなんだってさ。
はんだパッドの空きスペース(3ヶ所)が配線引き出し用です。表面と合わせて5線式となりますね。
取り付け方法はこんな感じです。
頒布向けに英語になってますが、気にせずに読んでください……。
うちのエンジニアリングサンプル版ではおおむねこういう配線配置。
試作品なので足の色は違いますが、接続図にしたがって配線できます。
試作品なので足の色は違いますが、接続図にしたがって配線できます。
回路図の話とパーツリストの話は少し難しいので、ちっちゃくしておきますね。
そして、この基板の設計図をFusionPCBとかElecrowとかに持ち込んで作ってもらえるデータも置いときますね。
興味のある方は読んでください。
はい、それでは作り方を紹介します。
気合とお小遣いさえあればほとんどの人ができるカンタンなお仕事で、場合によってはハンダごての出番はありません。
まずは「基板」と「部品」を用意しましょう。
あ、上の開閉ボタン内にレシピがあります。
次に、はんだ付け関係の工具とかを用意しましょう。
(■は必須、□はあったほうがいいものを表します)
■ホットプレート(非IHのもの)
■ヒートガン
■ペーストはんだ
■つまようじ
□フラックス
□ルーペ
□無水アルコール(またはパーツクリーナー)
□ピンセット
□はんだごて
ペーストはんだ(Solder Paste)は国内では入手困難(できても高い)ので、海外の電子部品商社やeBayで買ってください。
個人で使う分には有鉛でもダイジョブだし、鉛フリーより融点が低くて使いやすいです。40gで3~4ドルくらい。
まずは、つまようじを使って基板にペーストはんだを乗せましょう。
ペーストはんだはかなり粘性が高いので、つまようじの先に少しつけて糸状になったものを基板に乗せる感じですね。
本来はステンシルシートを使うのですが、今回の基板の規模だと塗り忘れはほぼないので不要です。
乗せる量は……下の写真を参考にしてください。これが乗せる量の上限です(むしろ多いです)。
ペーストはんだの半分はフラックスなので、塗った分の約半分が金属はんだになるイメージで載せるといいかもしれません。
乗せるのに失敗したら、無水アルコールやブレーキクリーナーで、ペーストはんだを洗い流します。
はんだを乗せ終えると、部品を基板に乗せます。
乗せ方は多少アバウトで大丈夫です。
……というのも、はんだが溶けると、はんだの表面張力で部品が勝手にパッドに寄ってくれます。
そして、いよいよはんだ付けです。
やり方は簡単です。ホットプレートで焼きます。
コーヒーでも飲みながら適当にやってください。
いわゆる”自宅リフロー”とか”おうちリフロー”とかいう作業です。
スイッチサイエンスさんのこの動画を参考にしてください。
リフローは、230度前後まで温度調節ができる非IHのホットプレートを使ってください。
いろいろやり方はありますが、180度で2~3分予熱し、その後230度で一気に焼き上げます。はんだが溶け始めてから30秒くらい待てば大体ムラなくリフローできています。
また、一度リフローに使用したホットプレートは鉛や有毒有機物が付着するので、絶対に調理には使用しないでください。
これで片面の処理が完了しました。
ただし、まだ裏面が残っています。
というか、ここからが真の本番です。
ホットプレートリフローはなかなかつぶしの利くワザなので紹介したんですが、実は次に紹介する方法だけでもはんだ付けはできてしまいます。
それがヒートガンを使った、ホットエアリフローです。
ヒートガンのリフローは温度管理が大変なので、ホットプレートリフローに比べて熱破壊のリスクが高くなりますし、やり方によってははんだ付けにムラが生じてしまいます。
それゆえ、これはホットプレートで焼けない裏面の、しかも局部限定で使う最終手段※3です。……慣れれば超簡単ですけど。
※3 全体をムラなくDIYリフローしようと思ったらオーブントースターを使った方法が
ベストかもしれませんが、改造がなかなか面倒なので割愛します。
ベストかもしれませんが、改造がなかなか面倒なので割愛します。
やり方は、パーツをヒートガンで炙るだけです。
ただ、一応リフローの温度をイメージして、30秒~1分秒程まで15cm離れたところから熱風で予熱し、その後5cm程度までノズルを近づけ加熱します。
基板の裏側に部品が実装済みなので、傾かないように何かに乗せるとやりやすいです。(写真では毛抜きに載せてます)
また、リフロー台が金属板になっていると熱が反射して温まりやすいです。私はホットプレートの上でやってます。
今回は部品が1つだけで、しかも熱を通しやすいので比較的安全ですが、部品が多くなったり、プラスチックモールドと金属モールドが混ざっていたり、基板サイズが大きいと失敗するリスクは高まります。これだけは注意が必要です。
作業が終わると、冒頭の写真や次のような見た目になります。
最後に、なんかリフローを失敗した箇所とかをはんだごてでスポット修正し、配線作業をすれば完成です。
以上でリフロー作業は終了です。
お疲れ様でした。
今回掲載したFETは絶縁が甘い個所もあるので、サンハヤトのレジスト補修材で絶縁を強化しておきます。
なお、DLできるバージョンはそのような個所を修正したものになりますので、心配せずにご利用ください。
本FETスイッチは、SFETシリーズの最初のバージョンということで、データやレシピを含めて全情報を公開しています。
SFETシリーズは今後、
■本ユニットと同サイズでさらにMOSFET素子を強化した 「SFET-U2 (simple FET μ ULTRA)」
■本ユニットと同構成でスリム化したGATE社製PicoSSRの対抗馬 「SFET-US (simple FET μ Slim)」
■バッテリー電圧監視機能とアクティブブレーキ機能を搭載する 「SFET-ABP (simple FET ActiveBreak w/ Protection)」
■V型マイクロスイッチと寸法的に互換性のあるAB搭載 「SFET-AB-V (simple FET ActiveBreak V-type)」
の展開を予定しています。
基板発注済みなので、今月内に試作品完成、ブログにアップすると思います。
また、本FETユニットは、2月下旬から順次ヤフオクに出品します。
ご入用の方は是非ご購入ください。
あ、ツイッターに進捗状況を載せてますので、見てねー!
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文系の本気 - 2013年10月16日
こんにちは。
ネヴリンです。
タイトルはあれです、文系をダシにして開発スピードが遅いことを正当化する言い訳です。
世の中の文系はおよそ論理的思考ができないとか言われますが、そのイメージを払拭するための宣誓です。
それはさておき。
先日、海外の格安PCB(電子基板)メーカー『Elecrow』に発注した、
PTS MASADA ACR用FCU『METS BE』の基板が到着しました。
ElecrowのPCBはレビュー通り値段相応の品質で、ところどころシルクプリントがずれているところもあります。
もっとも、プロトタイプかつ実用上問題があるほど破綻しているものはないので良しとします。
METS BE基板のセレクターボードです。
切り出しをした後、メカボックスシェルに乗せて固定してみました。
クリアランスを多めにとってあるので他の部品との干渉はありません。
ベアリング近くにあるランドはセレクタースイッチ、PTSのロゴ付近にあるランドはコントロールボード等の接続用端子、その下はUSB端子です。
USB端子は、CSR社製Bluetooth2.1対応のチップを搭載した市販のブルートゥース無線ドングルを接続可能にする予定です。
ここはソケット式にしたかったんですが、スペースの都合上はんだ付けになりました。ここだけ上級者向けです。
なお、このボードはメカボックスシェルの固定用ねじ穴を利用し、なべねじ2本で固定します。
メインのコントロールボードです。
基板は4層で厚みは1.6mmあります。
制御用のMCUは、USBホスト機能を持つMicrochip社製の「PIC32MX250F128D-I/VT」です。
※USB OTG機能付きのARM Cortex-Mコアはデカすぎるので載せられませんでした。
写真の基板のほか、レギュレータボードと後述のパワーボードを接続した3階建て構造になります。
ちなみにボードの固定は、カットオフレバーを固定していたねじをそのまま使います。
スイッチ類のうちカットオフスイッチは、BTCスペクターやキメラmk2、DTM for ver2と同様、カットオフカムでダイレクトに操作されます。カットオフスイッチが2つあるのは回転位置検出を高精度に行うためです。
トリガースイッチは、耐久性を優先しレバー型のスイッチにしました。
METS BEのコントロールボード(左)と、パワーボード(右)です。
パワーボードの今写っている面の逆側に、IR社のDirectFET「IRF7739」を4つ搭載します(うち2つはブレーキ用)。
写真の面には、モーターのフライホイール(還流)ダイオードとしてDiodes社のSBD「SBR10U200P5」を4つと、ゲート抵抗、パワーケーブルを載せます。
パワーボードのMOSFET実装面は、シリコン絶縁放熱シートを介してメカボックスシェルに密着します。これは、メカボックスシェルそのものを巨大な放熱版として利用するためです。
これをすることにより、大気中冷却の連続定格である90Aではなく、冷却器使用の定格である540Aを正式に自称できますw
METS BEのバッテリーの最大電圧は30V、流せる電流は連続540A、逆起電力耐性は定格200V20A+(4000W+)となっています。
もはや変態基地外レベルです。
バッテリーの一次電源側にDCDCコンバータを置き、2次側にラインレギュレータを置くことで30Vものバッテリー耐圧を実現しており、ゲート駆動にはDCDCコンバータから拾った5Vをブートストラップ回路で10Vに昇圧したものを使うので安定した運用が可能です。
今後プログラムレベルで電子ヒューズなんかの保護機構も追加予定です。
実装部品が到着し次第おうちリフローにて基板をこんがり焼き上げます。その後プログラム書き込みをして作動テストです。
USBやチャンバー連携を廃止した『METS RE(レッドエディション/赤基板)』および、ハードウェアを簡素化した廉価版の『METS GE(グリーンエディション/緑基板)』も後続開発予定ですが、これらはBEの完成後になります。
それと、Bluetoothの相手であるスマホのアプリ開発は、私の知能では追いつかないので誰か詳しい人はご助言ください。
ちなみにAndroid限定で開発します。iOSアプリはビルドにMacが必要なんですがそんな高級品買えないのでスルーします。
シュミの世界なんでゆっくりしっとりとしか進捗しないので、期待せずに生温かい視線を送ってくださいね。
ネヴリンです。
タイトルはあれです、
世の中の文系はおよそ論理的思考ができないとか言われますが、そのイメージを払拭するための宣誓です。
それはさておき。
先日、海外の格安PCB(電子基板)メーカー『Elecrow』に発注した、
PTS MASADA ACR用FCU『METS BE』の基板が到着しました。
※METS BE = MASADA Electric Trigger System : Black Edition
ElecrowのPCBはレビュー通り値段相応の品質で、ところどころシルクプリントがずれているところもあります。
もっとも、プロトタイプかつ実用上問題があるほど破綻しているものはないので良しとします。
METS BE基板のセレクターボードです。
切り出しをした後、メカボックスシェルに乗せて固定してみました。
クリアランスを多めにとってあるので他の部品との干渉はありません。
ベアリング近くにあるランドはセレクタースイッチ、PTSのロゴ付近にあるランドはコントロールボード等の接続用端子、その下はUSB端子です。
USB端子は、CSR社製Bluetooth2.1対応のチップを搭載した市販のブルートゥース無線ドングルを接続可能にする予定です。
ここはソケット式にしたかったんですが、スペースの都合上はんだ付けになりました。ここだけ上級者向けです。
なお、このボードはメカボックスシェルの固定用ねじ穴を利用し、なべねじ2本で固定します。
メインのコントロールボードです。
基板は4層で厚みは1.6mmあります。
制御用のMCUは、USBホスト機能を持つMicrochip社製の「PIC32MX250F128D-I/VT」です。
※USB OTG機能付きのARM Cortex-Mコアはデカすぎるので載せられませんでした。
写真の基板のほか、レギュレータボードと後述のパワーボードを接続した3階建て構造になります。
ちなみにボードの固定は、カットオフレバーを固定していたねじをそのまま使います。
スイッチ類のうちカットオフスイッチは、BTCスペクターやキメラmk2、DTM for ver2と同様、カットオフカムでダイレクトに操作されます。カットオフスイッチが2つあるのは回転位置検出を高精度に行うためです。
トリガースイッチは、耐久性を優先しレバー型のスイッチにしました。
※ちなみにカットオフスイッチの下の軸受けは、フランジ径が9.5mmまでのものに限定されます。
それゆえ例えば、F693ZZサイズのようなシールド系ベアリングは使えず、
F693無印のようなオープンタイプベアリングや、エアソフト用のオイルレス軸受け等のみの対応になります。
それゆえ例えば、F693ZZサイズのようなシールド系ベアリングは使えず、
F693無印のようなオープンタイプベアリングや、エアソフト用のオイルレス軸受け等のみの対応になります。
METS BEのコントロールボード(左)と、パワーボード(右)です。
パワーボードの今写っている面の逆側に、IR社のDirectFET「IRF7739」を4つ搭載します(うち2つはブレーキ用)。
写真の面には、モーターのフライホイール(還流)ダイオードとしてDiodes社のSBD「SBR10U200P5」を4つと、ゲート抵抗、パワーケーブルを載せます。
パワーボードのMOSFET実装面は、シリコン絶縁放熱シートを介してメカボックスシェルに密着します。これは、メカボックスシェルそのものを巨大な放熱版として利用するためです。
これをすることにより、大気中冷却の連続定格である90Aではなく、冷却器使用の定格である540Aを正式に自称できますw
METS BEのバッテリーの最大電圧は30V、流せる電流は連続540A、逆起電力耐性は定格200V20A+(4000W+)となっています。
もはや変態基地外レベルです。
バッテリーの一次電源側にDCDCコンバータを置き、2次側にラインレギュレータを置くことで30Vものバッテリー耐圧を実現しており、ゲート駆動にはDCDCコンバータから拾った5Vをブートストラップ回路で10Vに昇圧したものを使うので安定した運用が可能です。
今後プログラムレベルで電子ヒューズなんかの保護機構も追加予定です。
実装部品が到着し次第おうちリフローにて基板をこんがり焼き上げます。その後プログラム書き込みをして作動テストです。
USBやチャンバー連携を廃止した『METS RE(レッドエディション/赤基板)』および、ハードウェアを簡素化した廉価版の『METS GE(グリーンエディション/緑基板)』も後続開発予定ですが、これらはBEの完成後になります。
それと、Bluetoothの相手であるスマホのアプリ開発は、私の知能では追いつかないので誰か詳しい人はご助言ください。
ちなみにAndroid限定で開発します。iOSアプリはビルドにMacが必要なんですがそんな高級品買えないのでスルーします。
シュミの世界なんでゆっくりしっとりとしか進捗しないので、期待せずに生温かい視線を送ってくださいね。