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次世代M4修理 - 2012年10月27日
こんにちは。ネヴリンです。
今日は修理依頼を引き受けた次世代M4の記事です。
今回も自分のメモ兼修理報告になります。
M4というかM16A5ですw(持ち主談)
ストックやハンドガード等はマルイ純正従来型からの流用加工品で、バレルは従来型用のカスタムバレル加工品だそうです。
またTSS製と思われるリコイル強化ユニットが組み込まれていました。このユニットには純正に比べてかなり固いリコイルスプリングが入っていました。
パワーソースは9.6vのニッスイを使用するそうなので、ニッスイバッテリーもお借りしました。
なお、今回の依頼者様はカスタムに関してかなり上級者で、ご自身でも十分対処できる腕をもっているのですが、ご好意で私に次世代M4を弄らせて頂く機会を頂きました。
故障はおそらくピスクラで、作動させるとピストンの作動音が異常です。
今回の修理はこの原因となっている部品の交換です。部品は持ち込みで、不足が出た時には当方で追加してよいとのこと。
また、ベースガンがM4A1のためフロント配線になっています。これをストック内配線にしてほしいとの依頼もされました。
今回は大まかに、分解編、分析編、組立編という構成でお送ります。
<分解編>
それではさっそく分解をしていきます。
分解についてはほかの方がすでに詳しく説明されておられるので、自分で組み立てる際に間違わないよう複雑な個所を写真でメモしておきます。
長くなるので、見るときは下のボタンを押して表示してください。
メカボを開いたらピストンのカスっぽい物体が出てきました。
念のためギアのほうを見てみたんですが、どうやら摩耗もなく完全に無傷でした。
さて、疑惑のピストンですが、こんな感じになってました。
次世代特有の削れ方ですね。
ピストンが後退し、リコイルウェイトのプッシュロッドに接触した衝撃で、セクターギアとピストンのラックギアがかみ合うタイミングがずれてこのような削れ方になると思われます。
これの原因は、冒頭で述べた、リコイル強化ユニットに付属する強いバネの抵抗と、9.6Vという若干高い電圧によるギアの高回転です。
<分析編>
さて、上の問題を解消するヒントを得るべく、構造とギア位置を分析しておきます。
次世代M4は、ピストンで直接プッシュロッドを押して後退させます。
と言ってもリコイルウェイトをフルストロークで押すわけではないので、ピストン位置がある程度後退したときに、ピストンとプッシュロッドが衝突してしまいます。
このため、衝突の瞬間、メインスプリングとリコイルスプリング両方のテンションがかかり、負荷が非常に高まります。
この負荷がかかるとき、わずかにピストン交代速度が遅まり、ギアとのタイミングがずれて、ピストンのラックギアが削れてしまいます。
これが次世代M4特有のピスクラ原因であり、上に載せた壊れたピストンの写真のような壊れ方になります。
なお、依頼された銃は硬いリコイルスプリングが入っていたため、より負荷が増えてしまったものと思われます。その上で9.6vで使用していたので、機構的にはより悪い影響が出ていたのだと思われます。
金属歯ピストンなどで強度をあげれば回避できますが、本当はリコイルスプリングを適度な硬さにしておくのが一番ですね。
(柔らかくしすぎたらリコイルウェイトの前進速度が遅れ、後退してきたピストンと衝突することになり逆効果です。むずかしい。)
なお、プッシュロッド接触位置はココです。
ちょうど削れたラックギアの位置と一致します。
開いてみたの図。
前進位置。
ギア同士が当たる直前にタペットプレートを引き始めます。
なんか次世代はタペットプレートのばねが固いので、ほんのわずかですがクッション効果があるのかもしれません。
タペットプレート後退位置。
この図にあんまり意味はない。
プッシュロッドにピストンが接触する位置。
この後、プッシュロッドが半分後退したところでピストン上方の突起がダミーボルトを後退させるパーツに衝突しますが、負荷的に無視します。
構造はだいたいこんな感じです。
さすがマルイバランスですね。絶妙だわ。
逆に言うとこのバランスを崩すとぶっ壊れるということなんですが。
パーツを組み替える以上全く同じバランスにすることはできませんが、各部品のすり合わせ、作動マージンの確保で耐久性とか作動性を確保したいと思います。
<組立編>
それでは組立に移ります。
とりあえず、ピスクラ対策として、ラックギアが削れないようにするために金属歯ピストンを入れます。
ピストンは持ち込み部品のUFC(SHS)製次世代用です。
次世代にはあまり効果はなさそうですが、後ろから2番目のギアを削り、リバウンド対策を施しておきます。
ピストンヘッドには、後方吸気加工をしておきます。性能が下がることはないので、クラッシュ防止のために行っておきます。
一か所だけ穴の位置がずれてしまいましたが、強度的には問題ないです。
軸受けも持ち込み品に交換します。
この軸受けですが、非常にバリが多っかったので1000番→2000番の耐水ペーパーで研磨しておきます。
あ、5個しか映っていませんが、一個だけ既にメカボに入れて接着してます。
写真は取り忘れてしまいましたが、スプリングとスプリングはライラ製です。
メカボックス内の配線は潤工社AF04B110テフロン銀メッキ1.25sqです。
皮膜が破れやすいところはシュリンクチューブで保護してあります。
分解整備性をあげるためのジョイントコネクタは、高耐圧のラージコネクタの芯を使いました。
通常のラージコネクタは金属板を丸めたものですが、これは削り出しです。
寸法的には互換性がありますが、耐電流値が50A(ラージの3倍)までいけます。
何と言っても細いので、こういうところにはピッタリの部品です。(というか長いのでここ以外使えません……)
ストック内配線は柔軟性が求められ、被膜が傷つきにくい個所なので、イーグルのシリコンケーブルを使っています。
ヒューズはミニ平型の20Aを使っています。コネクタは、依頼者様のバッテリーに合わせてディーンズコネクタを付けました。
あとは外装を組み立てて完成です。
依頼者様にはいつもお世話になっているので、VFCのA2グリップと、ライラのねじ止めトリガーピンを盛っておきました。
……あ、なんだかんだ書いといて、分析した構造をカスタムに生かしてないじゃないか! というツッコミはしないでくださいね。
今日は修理依頼を引き受けた次世代M4の記事です。
今回も自分のメモ兼修理報告になります。
M4というかM16A5ですw(持ち主談)
ストックやハンドガード等はマルイ純正従来型からの流用加工品で、バレルは従来型用のカスタムバレル加工品だそうです。
またTSS製と思われるリコイル強化ユニットが組み込まれていました。このユニットには純正に比べてかなり固いリコイルスプリングが入っていました。
パワーソースは9.6vのニッスイを使用するそうなので、ニッスイバッテリーもお借りしました。
なお、今回の依頼者様はカスタムに関してかなり上級者で、ご自身でも十分対処できる腕をもっているのですが、ご好意で私に次世代M4を弄らせて頂く機会を頂きました。
故障はおそらくピスクラで、作動させるとピストンの作動音が異常です。
今回の修理はこの原因となっている部品の交換です。部品は持ち込みで、不足が出た時には当方で追加してよいとのこと。
また、ベースガンがM4A1のためフロント配線になっています。これをストック内配線にしてほしいとの依頼もされました。
今回は大まかに、分解編、分析編、組立編という構成でお送ります。
<分解編>
それではさっそく分解をしていきます。
分解についてはほかの方がすでに詳しく説明されておられるので、自分で組み立てる際に間違わないよう複雑な個所を写真でメモしておきます。
長くなるので、見るときは下のボタンを押して表示してください。
メカボを開いたらピストンのカスっぽい物体が出てきました。
念のためギアのほうを見てみたんですが、どうやら摩耗もなく完全に無傷でした。
さて、疑惑のピストンですが、こんな感じになってました。
次世代特有の削れ方ですね。
ピストンが後退し、リコイルウェイトのプッシュロッドに接触した衝撃で、セクターギアとピストンのラックギアがかみ合うタイミングがずれてこのような削れ方になると思われます。
これの原因は、冒頭で述べた、リコイル強化ユニットに付属する強いバネの抵抗と、9.6Vという若干高い電圧によるギアの高回転です。
<分析編>
さて、上の問題を解消するヒントを得るべく、構造とギア位置を分析しておきます。
次世代M4は、ピストンで直接プッシュロッドを押して後退させます。
と言ってもリコイルウェイトをフルストロークで押すわけではないので、ピストン位置がある程度後退したときに、ピストンとプッシュロッドが衝突してしまいます。
このため、衝突の瞬間、メインスプリングとリコイルスプリング両方のテンションがかかり、負荷が非常に高まります。
この負荷がかかるとき、わずかにピストン交代速度が遅まり、ギアとのタイミングがずれて、ピストンのラックギアが削れてしまいます。
これが次世代M4特有のピスクラ原因であり、上に載せた壊れたピストンの写真のような壊れ方になります。
なお、依頼された銃は硬いリコイルスプリングが入っていたため、より負荷が増えてしまったものと思われます。その上で9.6vで使用していたので、機構的にはより悪い影響が出ていたのだと思われます。
金属歯ピストンなどで強度をあげれば回避できますが、本当はリコイルスプリングを適度な硬さにしておくのが一番ですね。
(柔らかくしすぎたらリコイルウェイトの前進速度が遅れ、後退してきたピストンと衝突することになり逆効果です。むずかしい。)
なお、プッシュロッド接触位置はココです。
ちょうど削れたラックギアの位置と一致します。
開いてみたの図。
前進位置。
ギア同士が当たる直前にタペットプレートを引き始めます。
なんか次世代はタペットプレートのばねが固いので、ほんのわずかですがクッション効果があるのかもしれません。
タペットプレート後退位置。
この図にあんまり意味はない。
プッシュロッドにピストンが接触する位置。
この後、プッシュロッドが半分後退したところでピストン上方の突起がダミーボルトを後退させるパーツに衝突しますが、負荷的に無視します。
構造はだいたいこんな感じです。
さすがマルイバランスですね。絶妙だわ。
逆に言うとこのバランスを崩すとぶっ壊れるということなんですが。
パーツを組み替える以上全く同じバランスにすることはできませんが、各部品のすり合わせ、作動マージンの確保で耐久性とか作動性を確保したいと思います。
<組立編>
それでは組立に移ります。
とりあえず、ピスクラ対策として、ラックギアが削れないようにするために金属歯ピストンを入れます。
ピストンは持ち込み部品のUFC(SHS)製次世代用です。
次世代にはあまり効果はなさそうですが、後ろから2番目のギアを削り、リバウンド対策を施しておきます。
ピストンヘッドには、後方吸気加工をしておきます。性能が下がることはないので、クラッシュ防止のために行っておきます。
一か所だけ穴の位置がずれてしまいましたが、強度的には問題ないです。
軸受けも持ち込み品に交換します。
この軸受けですが、非常にバリが多っかったので1000番→2000番の耐水ペーパーで研磨しておきます。
あ、5個しか映っていませんが、一個だけ既にメカボに入れて接着してます。
写真は取り忘れてしまいましたが、スプリングとスプリングはライラ製です。
メカボックス内の配線は潤工社AF04B110テフロン銀メッキ1.25sqです。
皮膜が破れやすいところはシュリンクチューブで保護してあります。
分解整備性をあげるためのジョイントコネクタは、高耐圧のラージコネクタの芯を使いました。
通常のラージコネクタは金属板を丸めたものですが、これは削り出しです。
寸法的には互換性がありますが、耐電流値が50A(ラージの3倍)までいけます。
何と言っても細いので、こういうところにはピッタリの部品です。(というか長いのでここ以外使えません……)
ストック内配線は柔軟性が求められ、被膜が傷つきにくい個所なので、イーグルのシリコンケーブルを使っています。
ヒューズはミニ平型の20Aを使っています。コネクタは、依頼者様のバッテリーに合わせてディーンズコネクタを付けました。
あとは外装を組み立てて完成です。
依頼者様にはいつもお世話になっているので、VFCのA2グリップと、ライラのねじ止めトリガーピンを盛っておきました。
……あ、なんだかんだ書いといて、分析した構造をカスタムに生かしてないじゃないか! というツッコミはしないでくださいね。
銃のギアの動く感覚が滑らかに伝わって来る様になり気持ち良く射撃出来るようになりました。
きっと丁寧な「組み込み」がされているんだろうな。と思ってたんですがやはりパーツ一つ一つに対して最高の仕事がなされてましたね。
そして長年彼女の出来なかった私にも彼女が出来、仕事も順調になり
ネヴリンさんのカスタムは私にとって手放せないモノになりました。
※個人の感想です
それジャンプの裏に書いてあるパワーアクセのセリフじゃないですかw
またのご利用をお待ちしておりますw